健康経営と食事の大事な関連性をわかりやすく解説!取り組み事例やポイントも紹介

近年、企業が従業員の健康管理に積極的に取り組む「健康経営」という考え方が注目を集めています。その中でも特に重要視されているのが「食事」への取り組み。なぜ食事が健康経営において重要な位置を占めているのでしょうか。

実は、食事は従業員の体調管理や生産性向上に直結する要素として、多くの企業が注目している分野です。適切な栄養摂取により、疲労回復や集中力向上、さらには生活習慣病の予防まで期待できるため、企業にとって従業員の食生活をサポートすることは大きなメリットがあります。

健康経営の推進には、従業員一人ひとりの健康状態を把握することが欠かせません。健康管理アプリ「Givefit」なら、毎日の健康を簡単に記録でき、リーズナブルに従業員の健康管理が行えるため、健康経営の第一歩として多くの企業に選ばれています。

目次

「食事」と「健康経営」は直接的な結びつきがある

健康経営において食事が重要視される理由は、食べ物が私たちの体と心に与える影響の大きさにあります

経済産業省が推進する健康経営優良法人認定制度においても、「食生活の改善」は明確に評価項目として位置づけられており、企業の取り組みが求められている分野です。

食事と健康経営の関係性を理解するために、まず「健康経営」という概念について説明します。健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践することです。従業員が健康であれば、医療費の削減、生産性の向上、離職率の低下など、企業にとって多くのメリットが生まれます。

その中で食事が果たす役割は非常に大きなもの。適切な栄養バランスの食事を摂ることで、以下のような効果が期待できます。

集中力と判断力の向上
脳のエネルギー源となる糖質や、神経伝達物質の材料となるタンパク質を適切に摂取することで、業務中の集中力や判断力が向上します。午後の眠気や疲労感も軽減され、1日を通して安定したパフォーマンスを維持できるでしょう。

体調不良による欠勤の減少
栄養バランスの取れた食事は免疫力を高め、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくい体作りに貢献。結果として、体調不良による欠勤や早退の減少につながります。

生活習慣病の予防
糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、食生活と密接な関係があります。これらの疾患を予防することで、医療費の削減や長期的な健康維持が可能になり、企業の人材確保にも大きく貢献するのです。

このように、食事への取り組みは単なる福利厚生を超えて、企業の競争力向上に直結する重要な経営戦略と言えるでしょう。

食事がもたらす健康経営の効果

企業が従業員の食事に注目する理由は、食習慣の改善が様々な経営効果をもたらすからです。具体的には以下のような効果が期待できます。

  • 食習慣の改善による従業員の生産性向上
  • 生活習慣病予防による医療費
  • 欠勤リスクの削減

それぞれの効果について、詳しく見ていきましょう。

食習慣の改善が従業員の生産性を高める

栄養バランスの取れた食事は、従業員の仕事のパフォーマンス向上に直接的な影響を与えます。これは単なる体調管理を超えて、脳の働きや集中力に深く関わる問題です。

脳のエネルギー補給と集中力の維持
脳は私たちが摂取するエネルギーの約20%を消費する器官。適切な糖質を摂取することで、午前中から夕方まで安定した集中力を維持できます。逆に朝食を抜いたり、糖質が不足したりすると、午前中のうちから頭がぼんやりしてしまい、重要な会議や作業でのミスが増加する可能性があります。

血糖値の安定化による安定したパフォーマンス
食物繊維が豊富な食材や、GI値の低い食品を選ぶことで血糖値の急激な上昇と下降を防げます。血糖値が安定すると、食後の急激な眠気も軽減され、午後の業務効率も大幅に改善されるでしょう。

必要な栄養素による疲労回復
ビタミンB群は疲労回復に欠かせない栄養素として知られています。また、良質なタンパク質は筋肉の修復だけでなく、神経伝達物質の材料としても重要な役割を果たします。これらの栄養素をバランス良く摂取することで、翌日に疲れを持ち越すことなく、毎日フレッシュな状態で業務に取り組むことが可能になります。

実際に食習慣改善に取り組んだ企業では、従業員のアンケート調査で「仕事中の集中力が向上した」「午後の眠気が減った」といった声が多数報告されています。

生活習慣病予防によって医療費・欠勤リスクを減らせる

生活習慣病と食生活には密接な関係があり、適切な食事管理により多くの疾患を予防できることが医学的に証明されています。

食生活と生活習慣病の関連性
糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満などの生活習慣病は、塩分や糖分の過剰摂取、野菜不足、不規則な食事時間などが主な原因となります。例えば、塩分の摂り過ぎは高血圧のリスクを高め、糖質の過剰摂取は糖尿病につながる可能性があります。

逆に、野菜を中心とした食事や適度な魚の摂取、規則正しい食事時間の維持により、これらのリスクを大幅に軽減することができるのです。

医療費削減効果
生活習慣病を予防することで得られる経済効果は想像以上に大きなもの。糖尿病の場合、合併症が進行すると年間の医療費が数十万円に及ぶケースもあります。また、企業が加入する健康保険組合の医療費負担も軽減され、保険料率の上昇抑制にもつながります。

欠勤リスクの軽減
生活習慣病は慢性的な体調不良や定期的な通院が必要になることが多く、従業員の欠勤や早退の原因となりがちです。食生活の改善により、これらの疾患を予防できれば、安定した出勤率を維持でき、チーム全体の業務効率向上にも貢献します。

さらに、重篤な合併症による長期休職のリスクも軽減されるため、人材確保の観点からも大きなメリットがあると言えるでしょう。

企業が直面する食事のよくある課題

健康経営における食事の重要性は理解していても、実際の取り組みでは多くの企業が共通の課題に直面しています。これらの課題を把握し、適切な対策を講じることが成功への第一歩となります。

・社員の栄養バランスが崩れている ・多様な働き方で食環境の管理が難しい ・施策導入コストがハードルになっている ・自主性に任せてしまう

それぞれの課題について、具体的な状況と背景を見ていきましょう。

社員の栄養バランスが崩れている

現代のビジネスパーソンの多くが、理想的な栄養バランスから程遠い食生活を送っているのが実情です。この問題の根本には、現代の働き方特有の事情があります。

忙しさによる食事の軽視
プロジェクトの締切や会議の連続で、食事の時間が十分に確保できない社員が増加。「とりあえずお腹を満たす」ことが優先され、栄養バランスまで考慮する余裕がありません。昼食時間が15分程度しか取れないケースも珍しくなく、早食いや栄養の偏りが常態化してしまいます。

外食依存による塩分・脂質過多
オフィス周辺の飲食店は、味の濃い料理や揚げ物中心のメニューが多い傾向にあります。毎日外食に頼る社員は、知らず知らずのうちに塩分や脂質を過剰摂取し、野菜不足に陥りがち。特にラーメンや丼物などの単品料理を選ぶことが多く、栄養の偏りが深刻化しています。

コンビニ利用による添加物摂取
手軽さからコンビニ弁当やパンを常用する社員も多く、保存料や着色料などの添加物摂取量が増加。また、おにぎりとサラダチキンといった組み合わせでも、ビタミンやミネラルが不足しやすく、長期的な健康リスクにつながります。

これらの食習慣が続くと、疲労感の増加、集中力の低下、そして将来的には糖尿病や高血圧といった生活習慣病のリスクが高まってしまうのです。

多様な働き方で食環境の管理が難しい

働き方改革やコロナ禍を経て、従来の「全員がオフィスで働く」前提が崩れ、企業は新たな食環境の課題に直面しています。

社員食堂が使えない勤務形態での課題
テレワークや営業での外回りが多い社員は、社員食堂を利用する機会が限られます。在宅勤務では一人で食事をする「孤食」が増加し、食事に対する意識が希薄になりがち。また、自宅にいることで間食が増加したり、冷蔵庫にあるもので済ませてしまったりと、栄養バランスが乱れやすい環境にあります。

時差出勤制度を導入している企業では、社員食堂の営業時間と合わない社員も多く、結果的にコンビニや外食に頼らざるを得ない状況も生まれています。

公平性・平等性の担保が困難
本社勤務の社員は充実した社員食堂を利用できる一方で、支店や営業所の社員は同等のサービスを受けられないといった格差が発生。また、正社員向けの食事補助制度があっても、契約社員やパート社員は対象外となるケースも多く、雇用形態による不公平感が生まれやすくなっています。

フレックスタイム制や時短勤務の社員に対しても、画一的な食事サポートでは対応しきれず、個々のライフスタイルに合わせた柔軟な支援策が求められているのが現状です。

施策導入コストがハードルになっている

食事に関する健康経営施策を検討しても、予算の制約が大きなハードルとなることが少なくありません。

社員食堂設置の高いハードル
新たに社員食堂を設置するには、厨房設備の導入、専門スタッフの雇用、食材の調達システム構築など、初期投資だけで数千万円規模の費用が必要。中小企業にとっては現実的ではない選択肢となっています。

既存の食堂がある場合でも、メニューの刷新や栄養管理システムの導入には相応のコストがかかり、費用対効果を示すのが困難な状況もあります。

限られた福利厚生費での優先順位
企業の福利厚生予算は限られており、食事補助以外にも交通費、住宅補助、研修費など多くの項目があります。食事への投資効果が見えにくいため、経営陣の理解を得ることが難しく、後回しにされがちな分野でもあるのです。

自主性に任せてしまう

多くの企業が陥りやすいのが、「情報提供さえすれば社員が自主的に改善するだろう」という考え方。しかし、実際にはこのアプローチだけでは十分な効果が得られないことがほとんどです。

啓発活動の限界
健康セミナーの開催や栄養に関するパンフレット配布といった啓発活動は重要ですが、それだけでは行動変容につながりにくいのが実情。「野菜を多く摂りましょう」「バランスの良い食事を心がけましょう」といったアドバイスは理解できても、具体的にどう実践すればよいかわからない社員が多いためです。

習慣化の難しさ
食習慣の改善は一時的な取り組みでは効果が限定的。継続的な実践が必要ですが、個人の意志だけに頼ると、忙しさやストレスによってすぐに元の食生活に戻ってしまいます。

行動変容を促す仕組みづくりの必要性
真の食習慣改善には、社員が無理なく実践できる環境や仕組みの整備が不可欠。例えば、健康的な食事を選びやすくする環境づくりや、継続をサポートするフォローアップ体制など、包括的なアプローチが求められています。

これらの課題を解決するためには、単発的な施策ではなく、継続的かつ体系的な取り組みが必要となるでしょう。

課題を解決する健康経営の食事施策の例

前章で挙げた課題を解決するために、多くの企業が様々な食事施策に取り組んでいます。それぞれの施策にはメリット・デメリットがあるため、企業の規模や働き方に合わせた選択が重要です。

・社員食堂・オフィスランチの栄養改善 ・宅配弁当やデリバリーの活用 ・食事補助・福利厚生ポイント制度 ・食育セミナーや管理栄養士との相談窓口 ・アプリ・ウェアラブル連携による食事記録の見える化

それぞれの施策について詳しく見ていきましょう。

社員食堂・オフィスランチの栄養改善

社員食堂は、企業が従業員の昼食を直接管理できる最も効果的な施策の一つです。管理栄養士監修のメニューを提供することで、確実な栄養改善効果が期待できます。

栄養バランスを考慮したメニュー開発
専門家が監修することで、主菜・副菜・汁物の組み合わせによる理想的な栄養バランスを実現。野菜摂取量の目標値(1日350g)を意識したメニュー構成により、慢性的な野菜不足を解消できます。また、減塩調理法の導入や食物繊維豊富な食材の活用により、生活習慣病予防にも直接的に貢献。

カロリー表示による意識向上
各メニューにカロリーや栄養成分を表示することで、従業員の食事選択に対する意識が向上します。ダイエット中の社員や糖尿病などの疾患を持つ社員にとって、安心して食事を選べる環境を提供できるでしょう。

オフィス内完結による時間効率
オフィス内で栄養バランスの取れた食事を摂れることで、外出時間を削減し、昼休みを有効活用できます。食後の休憩時間も確保しやすく、午後の業務に向けた十分なリフレッシュが可能になります。

ただし、初期投資や運営コストが高く、一定規模以上の企業でないと導入が難しいという課題もあります。

宅配弁当やデリバリーの活用

近年注目されているのが、健康志向の宅配弁当サービスを福利厚生として導入する取り組み。専門業者が栄養管理を行うため、企業側の負担を抑えながら質の高い食事を提供できます。

専門業者による栄養管理
管理栄養士が監修した弁当は、カロリー、塩分、糖質などが適切にコントロールされています。糖質制限食やタンパク質強化食など、個人のニーズに応じたメニュー選択も可能。従業員は自分で栄養計算をする必要がなく、手軽に健康的な食事を摂取できます。

多様な働き方への対応
テレワーク社員には自宅への配送、オフィス勤務者には職場への一括配送など、柔軟な配送システムにより全社員に平等な食事サポートを提供。営業で外回りが多い社員も、事前注文により確実に栄養バランスの取れた食事を確保できます。

コストパフォーマンスの良さ
社員食堂の設置・運営と比較すると、初期投資が不要で月額利用料のみで導入可能。企業規模に関係なく始められるため、中小企業でも取り組みやすい施策と言えるでしょう。

食事補助・福利厚生ポイント制度

従業員の食事選択の幅を広げながら、健康的な食事を後押しする制度として多くの企業が導入しています。

従業員満足度向上効果
月額数千円の食事手当や専用ポイントの付与により、従業員の家計負担を軽減。「会社が自分の健康を気にかけてくれている」という実感により、エンゲージメント向上にもつながります。給与以外のメリットとして、採用活動での訴求ポイントにもなるでしょう。

利用シーンの柔軟性
外食チェーン、コンビニ、スーパー、デリバリーサービスなど幅広い場面で利用可能。テレワーク中の食材購入から、出張先での食事まで、様々なシチュエーションに対応できる汎用性の高さが魅力です。

健康メニュー選択の誘導
ポイント利用時に野菜多めのメニューや低カロリー商品に追加ポイントを付与するなど、健康的な食事選択を促すインセンティブ設計も可能。単なる食費補助ではなく、行動変容を促す仕組みとして活用できます。

食育セミナーや管理栄養士との相談窓口

知識の提供と個別サポートを組み合わせることで、従業員の食事改善を多角的に支援する取り組みです。

専門家連携のメリット
管理栄養士や産業医との連携により、科学的根拠に基づいた正確な情報を提供。間違った健康情報に惑わされることなく、個人の体質や健康状態に応じた適切なアドバイスを受けられます。生活習慣病の予防や改善についても、医学的な観点からサポートが可能。

個別相談による継続支援
集団向けのセミナーだけでなく、個別相談窓口を設けることで、一人ひとりの悩みや課題に対応。「どうしても野菜が苦手」「外食続きで栄養が偏りがち」といった具体的な相談に、実践的なアドバイスを提供できます。

段階的な行動変容の促進
食習慣の改善は一朝一夕には実現しません。定期的なフォローアップにより、小さな変化を積み重ねながら着実な改善を図れます。成功体験を共有することで、他の従業員への波及効果も期待できるでしょう。

アプリ・ウェアラブル連携による食事記録の見える化

デジタル技術を活用した食事管理は、従業員の意識変化を促す効果的な手段として注目されています。

食事記録による気づきの促進
スマートフォンアプリで日々の食事を記録することで、自分の食習慣を客観視できます。「思っていたより野菜が少ない」「塩分を摂り過ぎている」といった気づきが、自然な行動変容のきっかけに。写真撮影による記録は手軽で、継続しやすいのも大きなメリットです。

包括的な健康データの連携
食事だけでなく、歩数計や体重計との連携により、運動・食事・体調の相関関係を把握。「よく歩いた日は食欲が適正」「野菜を多く摂った週は体重が安定」といったパターンを発見でき、より効果的な健康管理が可能になります。

従業員の主体的な取り組み促進
データの見える化により、健康管理が自分事として捉えられるようになります。目標設定や達成度の確認も容易で、ゲーム感覚で楽しみながら継続できる仕組み。社内でのランキング機能やチーム対抗戦などを導入することで、職場全体での健康意識向上も図れるでしょう。

これらの施策は単独で実施するよりも、複数を組み合わせることでより大きな効果を期待できます。企業の規模や予算、従業員のニーズに応じて最適な組み合わせを検討することが成功の鍵となります。

食事施策の導入事例3選

実際に健康経営の食事施策を導入している企業の事例を見ることで、具体的な取り組み内容や効果を理解できます。ここでは、それぞれ異なるアプローチで食事改善に取り組んでいる3つの企業事例をご紹介します。

  • 社員食堂を核にした食事施策
  • 給食会社とタイアップした食事施策
  • アプリ×社食×セミナーによる食事施策

社員食堂を核にした食事施策

株式会社タニタは、健康計測機器メーカーとして2008年から健康経営に取り組み、社員食堂を中核とした包括的な食事改善施策を展開しています。

専門性の高い栄養管理
タニタの社員食堂では、一汁三菜の献立構成を基本とし、1食500kcal前後、野菜150~250g、塩分3.0g以下という明確な基準を設定。日替わり定食1種類のみの提供により、メニューの偏りを防いでいます。また、「夏バテ防止」「風邪予防」といったマンスリーテーマを設けることで、季節に応じた健康サポートも行っています。

感覚的な健康知識の習得
社員食堂の目的は毎回の食事を通じて「健康的な食事」の感覚を養うこと。主菜の偏りをなくし、適切な野菜量や塩分量を体感することで、家での食事や外食でも適切なコントロールができるようになることを目指しています。

データに基づく継続的改善
施策の効果として、10年間で一人あたりの年間医療費が3分の2程度に削減され、BMIが適正範囲内の社員の割合も70%から75%に向上。社員の平均歩数も男女とも8000歩を超え、国の調査結果を上回る結果を達成しています。

この事例では、単なる食事提供ではなく「健康的な食事の教育機能」として社員食堂を活用している点が特徴的。長期的な視点で従業員の食習慣改善に取り組んでいることがわかります。

参考:日本の人事部 健康経営 タニタ食堂の取り組み

給食会社とタイアップした食事施策

キユーピー株式会社は、食品メーカーとしての専門性を活かし、給食会社との連携による食事施策を展開しています。

企業の特性を活かした取り組み
社員食堂のある事業所では、給食会社とタイアップして定期的に健康に配慮したメニューを提案。「31日はサラダの日」や「タマゴ文化祭」などテーマを設けたフェアやイベントを実施し、従業員の食生活向上を意識した取り組みを実施しています。

インナーブランディングとの連携
インナーブランディングの取り組みの一環として、サラダとタマゴで一人ひとりの健康を応援する活動を食堂からも発信。自社商品への理解を深めながら、健康意識の向上を図る相乗効果を生んでいます。

包括的な健康管理システム
食事施策だけでなく、「ヘルスアップキャンペーン」では生活習慣病改善を呼びかけ、「サラダファースト」コースが特に人気を集めています。2024年度のグループ全体参加率は過去最高の87%となり、従業員の高い関心を示しています。

健康指標の継続的モニタリング
運動習慣のある人の割合や朝食を食べる習慣のある人の割合など、複数の健康指標を継続的に測定し、食事施策の効果を定量的に把握。企業全体の健康レベル向上を図っています。

参考:キューピー株式会社公式サイト

アプリ×社食×セミナーによる食事施策

塩野義製薬株式会社は、デジタル技術と従来の食事施策を組み合わせた包括的なアプローチを採用しています。

AI技術を活用した個別支援
AI食事管理アプリによる食事習慣の改善と、社員食堂でのヘルシーメニュー提供を組み合わせることで、個人のニーズに応じた食事サポートを実現。アプリによる記録と分析で、個人の食事パターンを把握し、改善点を明確化しています。

専門家による教育プログラム
2022年度の定期健康診断結果から、従業員の肥満・脂質や肝機能・飲酒習慣にリスクがあることが判明。そこで2023年度はキリンビバレッジ社による食習慣の改善にフォーカスしたオンラインセミナーを開催し、参加者から高い行動変容意欲が示されました。

データドリブンな施策設計
健康診断データや従業員アンケートの結果を基に、具体的な課題を特定してからセミナー内容を設計。単なる一般的な健康情報ではなく、自社従業員に特化した改善策を提案している点が特徴的です。

多面的な健康アプローチ
食事だけでなく、西川株式会社による睡眠に関する実態調査とセミナーも実施。従業員の睡眠は質・量ともに十分ではなく生産性も低下している可能性があることを明らかにし、包括的な健康改善に取り組んでいます。

これら3つの事例から、企業規模や業種に応じて様々なアプローチが可能であることがわかります。重要なのは、自社の従業員のニーズと企業の特性を理解し、継続可能な仕組みを構築することです。

参考:塩野義製薬株式会社公式サイト

食事施策を導入するポイント

健康経営の食事施策を成功させるためには、計画的な導入と継続的な運営が不可欠です。これまでの事例を踏まえ、効果的な食事施策を実現するための重要なポイントを整理しました。

導入時の重要ポイント

項目具体的な内容期待される効果
認証要件・KPIとの紐付け・健康経営優良法人の認定基準に準拠<br>・BMI、血圧、脂質などの健康指標と連動<br>・参加率、改善率などの数値目標設定経営層の理解獲得<br>投資効果の可視化<br>継続的な予算確保
多様な働き方への対応・テレワーク社員向け宅配弁当<br>・時差出勤者への柔軟な提供時間<br>・営業外回り社員へのデリバリー対応全社員への公平なサポート<br>参加率の向上<br>従業員満足度の向上
継続可能な環境整備・段階的な導入(本社→支店→グループ会社)<br>・予算規模に応じたサービス選択<br>・社員のフィードバック収集体制無理のない施策運営<br>長期的な取り組み継続<br>改善点の早期発見

また食事施策を段階的に導入していく際は、下記のような流れで導入していきましょう。

フェーズ期間目安主な取り組み評価指標
準備期間3-6ヶ月・現状分析、ニーズ調査<br>・予算確保、業者選定<br>・社内体制構築調査完了率<br>予算承認<br>体制整備状況
試行導入6-12ヶ月・限定部署での先行実施<br>・効果測定、課題抽出<br>・改善施策の検討参加率60%以上<br>満足度4.0以上<br>健康指標の改善傾向
本格展開12-24ヶ月・全社展開<br>・多様なメニュー展開<br>・他施策との連携強化参加率80%以上<br>医療費削減効果<br>認証取得・維持
継続改善継続的・効果検証とPDCA<br>・新サービスの検討<br>・他社事例の研究長期的な健康改善<br>従業員エンゲージメント向上<br>企業価値向上

食事施策の導入失敗を避けるための注意点として、下記に気を付ける必要があります。

  • 一時的なキャンペーンで終わらせず、継続的な取り組みとして位置づける
  • 従業員の自主性だけに頼らず、参加しやすい仕組みを整える
  • 画一的なサービスではなく、個人のニーズに応じた選択肢を提供する
  • 経営層からのメッセージ発信により、全社的な取り組みとして推進する

食事施策の成功には、計画的な導入と専門家との連携、そして継続的な改善が欠かせません

企業の規模や特性に合わせて最適なアプローチを選択し、従業員の健康と企業の成長を両立させることが重要です。

導入前と導入後の流れ

健康経営の食事施策を成功させるためには、導入前の十分な準備と導入後の継続的な改善が重要です。それぞれの段階で必要な取り組みを整理し、スムーズな導入と運営を実現しましょう。

導入前:準備・検討段階

経営層の合意形成プロセス

ステップ主な活動内容必要期間成果物・判断基準
現状分析・健康診断データの分析<br>・医療費・欠勤率の把握<br>・従業員アンケート実施<br>・同業他社の事例調査1-2ヶ月健康課題の明確化<br>投資対効果の試算<br>ベンチマークデータ
戦略への位置づけ・健康経営方針との整合性確認<br>・経営計画への組み込み<br>・健康経営優良法人認定との連携<br>・CSR・ESG戦略との統合1ヶ月戦略文書への明記<br>予算承認の獲得<br>KPI設定の完了
実行計画策定・導入範囲・対象者の決定<br>・予算配分の検討<br>・実施スケジュールの作成<br>・社内推進体制の構築2-3ヶ月詳細実行計画書<br>予算確保の完了<br>推進チーム発足

具体的な検討ステップ

検討項目確認すべき内容判断基準
導入方式の選択・社員食堂の改善<br>・宅配弁当サービス<br>・食事補助制度<br>・複数施策の組み合わせ従業員数、勤務形態<br>既存設備の有無<br>予算規模
業者・サービス選定・栄養管理の専門性<br>・配送・提供体制<br>・価格・契約条件<br>・実績・評判管理栄養士監修の有無<br>全拠点への対応可能性<br>コストパフォーマンス
社内体制整備・推進責任者の任命<br>・関係部署との連携<br>・産業医・保健師との協力<br>・健康保険組合との調整専任担当者の配置<br>定期会議体の設置<br>専門職の参画確保

導入後:運営・改善段階

段階的な展開と改善サイクル

フェーズ期間主な取り組み効果測定指標改善アクション
試行導入3-6ヶ月・限定部署での先行実施<br>・利用方法の周知徹底<br>・初期課題の把握<br>・フィードバック収集・参加率:60%以上<br>・満足度:3.5以上<br>・継続率:80%以上<br>・システム稼働率サービス内容の調整<br>利用方法の改善<br>周知方法の見直し
本格展開6-12ヶ月・全社・全拠点への拡大<br>・メニューの多様化<br>・他施策との連携強化<br>・定期的な効果測定・参加率:80%以上<br>・健康指標の改善<br>・医療費削減効果<br>・従業員満足度向上提供方式の最適化<br>個別ニーズへの対応<br>連携施策の拡充
継続改善継続的・効果検証とPDCA<br>・新サービスの導入検討<br>・他社事例の研究<br>・長期トレンドの分析・長期的な健康改善<br>・生産性向上効果<br>・エンゲージメント<br>・認証取得・維持施策の進化・発展<br>新技術の活用検討<br>包括的健康経営の推進

従業員への浸透活動

活動種類具体的な取り組み実施頻度期待される効果
情報発信・啓発・イントラネットでの情報配信<br>・健康に関するメルマガ配信<br>・社内報での特集記事<br>・ポスター掲示による周知週1-2回<br>月1回<br>四半期1回<br>常時更新健康意識の向上<br>施策認知度の向上<br>参加動機の創出
教育・セミナー・管理栄養士による食育講座<br>・生活習慣病予防セミナー<br>・料理教室・試食会の開催<br>・健康アプリの使い方講習月1-2回<br>四半期1回<br>不定期<br>導入時・随時知識・スキルの習得<br>行動変容の促進<br>継続意欲の向上
参加促進施策・利用促進キャンペーン<br>・健康チャレンジ企画<br>・インセンティブの付与<br>・チーム対抗イベント四半期1回<br>半年1回<br>継続的<br>年2-3回参加率の向上<br>継続率の向上<br>職場コミュニケーション活性化

効果測定・改善のPDCAサイクル

PDCA活動内容測定項目改善につなげる方法
Plan・目標設定<br>・施策内容の計画<br>・スケジュール策定参加率目標、健康指標改善目標<br>予算執行計画前年度データとの比較<br>同業他社ベンチマーク活用
Do・施策の実行<br>・日常運営<br>・問題対応実際の参加率、利用状況<br>運営上の課題発生状況リアルタイムでの状況把握<br>迅速な課題対応
Check・効果測定<br>・データ分析<br>・満足度調査健康診断結果、医療費データ<br>従業員アンケート結果定量・定性両面での評価<br>多角的な効果検証
Action・改善計画策定<br>・施策の見直し<br>・次年度計画への反映改善実施状況<br>次年度予算・計画への反映度具体的な改善アクション<br>継続的な施策進化

導入前の十分な準備により成功の基盤を築き、導入後は継続的な改善を通じて従業員の健康と企業の成長を両立させることが、食事施策成功の鍵となります。

健康経営の第一歩は「GiveFit」から

健康経営における食事施策の重要性と具体的な取り組み方法について解説してきましたが、実際に施策を始めるには「まず現状を把握すること」が不可欠です。従業員の健康状態や食生活の実態を正確に把握できなければ、効果的な改善策を講じることはできません。

健康管理の基盤となるデータ収集

食事施策を成功させるためには、従業員一人ひとりの健康データを継続的に収集・分析し、個人のニーズに応じたサポートを提供する必要があります。しかし、多くの企業が直面する課題は「手軽に始められる健康管理システムの不在」です。

大規模な社員食堂の設置や高額な健康管理システムの導入は、中小企業にとってハードルが高く、「まずは小さく始めたい」というニーズに応えきれていないのが現状でした。

「GiveFit」が提供するソリューション

健康管理アプリ「GiveFit」は、このような企業の課題を解決する理想的なソリューションです。毎日の健康を簡単に記録でき、リーズナブルに従業員の健康管理が行えるため、健康経営の第一歩として多くの企業に選ばれています。

食事の記録から歩数、体重、睡眠時間まで包括的に管理できるため、従業員の生活習慣全体を把握し、食事だけでなく運動や休息も含めた総合的な健康改善を支援。このデータを基に、より効果的な食事施策の立案や、個人に最適化された健康指導の実施が可能になります。

導入から効果実感までの流れ

GiveFitを活用することで、健康経営の食事施策をスムーズに開始できます。まず従業員の健康状態を「見える化」し、そのデータを基に食事補助制度や栄養セミナーなどの具体的な施策を段階的に展開。従業員の健康意識が向上し、自然と食生活の改善につながる好循環を生み出せるでしょう。

健康経営と食事の関係性を理解し、従業員の健康と企業の成長を両立させるために、まずは「GiveFit」で健康管理の基盤づくりから始めてみませんか。小さな一歩が、やがて大きな成果につながるはずです。

村上克利
代表取締役
13年間にわたりパーソナルジム「POLUM」を経営し、幅広い世代・職業層の健康改善をサポート。
身体づくりに合わせ、メンタル面や生活習慣の改善にも注力し、多くの顧客から「続けられる健康習慣」を引き出す指導を行う。

その豊富な現場経験を企業向けの健康経営に応用し、従業員の健康増進と組織の活性化を目的とした健康管理アプリ「Givefit」を開発。

「Givefit」では、個人の健康データをもとにした最適なアドバイスや行動プランを提供。
健康習慣の定着を支援し、企業全体の生産性向上や離職防止に貢献。
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