健康経営を推進する上で避けて通れないのが「評価指標の設定」です。
どれだけ素晴らしい健康増進施策を実施しても、その効果を測る指標がなければ、取り組みの成果を把握できません。しかし、「どのような指標を設定すればよいかわからない」「KPIの設定方法がわからない」といった悩みを抱える担当者様は多いのではないでしょうか。
健康経営における指標設定は、従業員の健康状態の改善はもちろん、企業の生産性向上や医療費削減といった経営成果につながる重要な取り組み。適切な指標を設定することで、健康経営の効果を「見える化」し、継続的な改善につなげることが可能になります。
本記事では、健康経営の指標設定に必要な基礎知識から、具体的なKPI設定方法、失敗しないためのポイントまで詳しく解説します。
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健康経営の指標とは目標や課題を明確にするKPI
健康経営を成功に導くためには、まず「指標」と「KPI」の違いを正しく理解することが重要です。
指標とKPIの違いを整理
指標とは、何かを測定するための基準や尺度のこと。
健康経営においては、従業員の健康状態や企業の取り組み効果を数値で表したものです。
例えば、「健康診断受診率」「有給取得率」「ストレスチェック実施率」などが該当します。
一方、KPI(Key Performance Indicator)は「重要業績評価指標」と呼ばれ、目標達成に向けた進捗を測るための重要な指標を指します。数ある指標の中から、特に重要度の高いものを厳選し、具体的な目標値を設定したものがKPIです。
つまり、指標は「測定項目」、KPIは「目標達成のための重要な測定項目」という関係性になります。
健康経営におけるKPIの役割
健康経営におけるKPIには、以下のような重要な役割があります。
まず、現状の課題を明確化する役割です。
従業員の健康状態や職場環境の問題点を数値で「見える化」することで、どこに課題があるのかを客観的に把握できます。例えば、特定部署の残業時間が他部署より多い、特定年代の健康診断受診率が低いといった課題を発見できるのです。
次に、目標設定と進捗管理の役割。
「健康診断受診率100%」「月平均残業時間20時間以内」など、具体的で測定可能な目標を設定することで、取り組みの方向性が明確になります。また、定期的にKPIをチェックすることで、目標に向けた進捗状況を把握し、必要に応じて施策の修正を行えます。
さらに、効果測定と改善のPDCAサイクルを回す役割も重要です。
設定したKPIの数値変化を追うことで、実施した健康施策がどの程度効果を上げているかを客観的に評価できます。効果が見られない場合は、施策内容の見直しや新たなアプローチの検討につなげることが可能です。
最後に、ステークホルダーへの説明責任を果たす役割があります。
経営層への報告や健康経営優良法人の申請において、KPIに基づく具体的な数値データを示すことで、健康経営の取り組み成果を説得力を持って伝えられます。
このように、KPIは健康経営を戦略的に推進するための「羅針盤」のような存在。適切なKPI設定により、健康経営の取り組みを効果的かつ効率的に進められるのです。
健康経営の指標設定が必要なわけ
健康経営を成功させるために、なぜ指標設定が欠かせないのでしょうか。ここでは、指標設定の必要性を4つの観点から詳しく解説します。
- 現状の課題を把握するため
- 施策を健康経営の成果に結びつけるため
- 課題の優先順位を明確にするため
- 認定取得や人的資本開示に対応するため
現状の課題を把握するため
健康経営を推進する第一歩は、自社の従業員がどのような健康課題を抱えているかを正確に把握することです。しかし、感覚的な判断だけでは客観性に欠け、適切な対策を講じることは困難。
ここで重要になるのが、各種データを活用した指標による現状把握です。
健康診断結果の活用では、BMI値、血圧、血糖値、コレステロール値などの数値から、生活習慣病リスクの高い従業員の割合を把握できます。また、部署別や年代別に分析することで、特定のグループに健康リスクが集中していないかを確認することも可能です。
ストレスチェックデータからは、職場のメンタルヘルス状況を数値化して把握できます。高ストレス者の割合や部署別のストレス傾向を分析することで、職場環境の改善が必要な箇所を特定できるでしょう。
勤怠データの分析も重要な要素の一つ。残業時間、有給取得率、欠勤率などを指標化することで、ワークライフバランスの実態や健康に影響を与える可能性のある労働環境を客観的に評価できます。
これらのデータを組み合わせることで、「なんとなく従業員の健康状態が心配」という漠然とした認識から、「40代男性社員の生活習慣病リスクが高く、営業部門の残業時間が月平均50時間を超えている」といった具体的な課題把握が可能になります。
施策を健康経営の成果に結びつけるため
多くの企業が健康経営に取り組む中で、よく見られるのが「施策を実施しただけで満足してしまう」という状況。
健康セミナーを開催した、ウォーキングイベントを実施した、社食にヘルシーメニューを導入したといった取り組みを行っても、その効果を測定しなければ「やって終わり」になってしまいます。
指標設定により、実施した施策が実際にどのような成果を生んでいるかを数値で確認できるように。例えば、メンタルヘルス研修を実施した場合、研修前後でストレスチェックの結果がどう変化したかを比較することで、研修の効果を客観的に評価できます。
さらに重要なのは、ROI(投資対効果)の算定です。健康経営への投資額と、医療費削減や生産性向上による効果を数値化することで、経営層に対して健康経営の価値を説得力を持って説明できます。これにより、継続的な予算確保や追加投資の判断材料として活用することが可能です。
指標による効果測定は、健康経営を単なる「福利厚生」から「戦略的な経営施策」へと押し上げる重要な要素と言えるでしょう。
課題の優先順位を明確にするため
企業が抱える健康課題は多岐にわたります。
生活習慣病対策、メンタルヘルス対策、職場環境改善、ワークライフバランス向上など、取り組むべき領域は山積み。しかし、限られた予算と人的リソースの中で、すべての課題に同時に対応するのは現実的ではありません。
ここで指標が威力を発揮するのが、データに基づく優先順位の決定です。各健康課題を数値化することで、どの問題が最も深刻で、早急な対応が必要かを客観的に判断できます。
例えば、メンタル不調による休職率が年間5%を超えている企業では、メンタルヘルス対策を最優先に取り組むべきでしょう。一方、健康診断で生活習慣病のリスク者が従業員の60%を占めている場合は、食事指導や運動推進施策に重点を置くことが効果的です。
また、指標を時系列で追跡することで、施策の効果を見ながら次の優先課題を決定することも可能。最初にメンタルヘルス対策に注力して休職率を改善できた後は、次に生活習慣病対策に移行するといった戦略的なアプローチを取れます。
このように、指標に基づく意思決定により、健康経営の取り組みを効率的かつ効果的に進められるのです。
認定取得や人的資本開示に対応するため
近年、健康経営に対する社会的な注目度が高まる中で、健康経営優良法人認定の取得を目指す企業が増えています。
この認定申請では、健康経営の取り組み内容だけでなく、具体的な指標とその改善状況の提示が必須要件となっています。
認定審査では、「健康診断受診率100%達成」「ストレスチェック実施率95%以上」「有給取得率の前年比10%向上」といった定量的な成果が評価対象。指標設定と継続的な測定を行っていない企業は、認定取得が困難になる可能性があります。
また、昨今注目されている人的資本開示においても、従業員の健康に関する指標の開示が求められるケースが増加中。投資家や取引先に対して、従業員の健康状態や健康経営の取り組み成果を数値で示すことが、企業の信頼性向上につながります。
特に上場企業では、ESG投資の観点から健康経営への取り組みが株価や企業評価に影響を与える場面も。適切な指標設定により、ステークホルダーに対して健康経営の価値を訴求することで、企業価値の向上にも寄与するでしょう。
このように、指標設定は社外への説明責任を果たし、企業の競争力を高めるためにも不可欠な取り組みなのです。
3つのカテゴリーに分ける健康経営の指標
健康経営の指標は、その性質や測定する内容によって大きく3つのカテゴリーに分類できます。これらのカテゴリーを理解することで、バランスの取れた指標設定が可能になり、健康経営の全体像を把握しやすくなります。
行動や環境の変化を測る指標
この指標は、健康経営の取り組みによって従業員の行動や職場環境がどの程度変化したかを測定するものです。いわば健康経営の「入口」部分を評価する指標と言えるでしょう。
主な指標項目
- 健康診断受診率
- 特定保健指導実施率
- ストレスチェック受検率
- 運動プログラム参加率
- 禁煙施策参加率
- 健康セミナー参加率
- 長時間労働是正率
- 有給取得率
- 社内健康イベント参加率
これらの指標は比較的短期間で数値の変化を確認できるため、施策の初期効果を測定するのに適しています。
例えば、ウォーキングキャンペーンを実施した際の参加率や、残業時間削減施策による長時間労働者数の変化などを追跡することで、取り組みが従業員に浸透しているかを判断できます。
健康状態の改善を測る指標
行動や環境の変化が実際に従業員の健康状態改善につながっているかを測定する指標です。健康経営の「中間成果」を評価する重要な指標群になります。
主な指標項目
- 高ストレス者比率
- BMI改善率
- 血圧改善率
- 血糖値改善率
- 脂質改善率
- 再検査受診率
- 長期休職者数
- メンタル不調による休職者数
- 生活習慣病有病率
- 喫煙率
これらの指標は中長期的な視点で評価する必要があります。健康状態の改善には時間がかかるため、最低でも半年から1年のスパンで数値の推移を見ることが重要。また、個人情報保護に配慮しながら、全体の傾向として把握することが求められます。
経営成果を測る指標
健康経営の取り組みが最終的に企業の経営成果にどのような影響を与えているかを測定する指標です。健康経営の「最終成果」を評価し、投資対効果を判断するための重要な指標と言えるでしょう。
主な指標項目
- 欠勤率
- 休職率
- 離職率
- 採用内定辞退率
- 1人当たり医療費
- 労災件数
- プレゼンティーズム損失額(健康問題による生産性低下)
- 生産性指標(売上/人、営業利益/人など)
- 従業員満足度
- エンゲージメントスコア
これらの指標は健康経営の真の価値を示すものですが、様々な外部要因の影響も受けやすいため、慎重な分析が必要です。例えば、離職率の改善が健康経営の成果なのか、労働市場の変化によるものなのかを見極めることが重要になります。
3つのカテゴリーをバランスよく設定することで、健康経営の取り組みを多角的に評価できます。
行動・環境の変化から健康状態の改善、そして最終的な経営成果まで、一連の流れを数値で追跡することで、健康経営の効果を体系的に把握することが可能。これにより、どの段階で課題があるのかを特定し、より効果的な改善策を講じることができるでしょう。
健康経営の指標を設定する手順
効果的な健康経営指標を設定するためには、体系的なアプローチが欠かせません。ここでは、4つのステップに分けて具体的な設定手順を解説します。
ステップ1:現状把握
健康経営指標設定の第一歩は、自社の現状を正確に把握することです。感覚的な判断ではなく、客観的なデータに基づいて課題を特定することが重要になります。
収集すべき主要データには、健康診断結果、ストレスチェック結果、勤怠データ、休職率、離職率、医療費データなどがあります。これらのデータを統合的に分析することで、自社の健康課題の全体像を把握できるでしょう。
特に重要なのは、データを細分化して分析することです。全社平均だけでなく、部門別、年代別、性別、職種別などに分けて分析を行うと、具体的な課題が浮き彫りになります。
例えば、全社的にはストレス度が平均的であっても、営業部門だけが他部門より高い数値を示している場合があります。また、20代の若年層でメンタル不調による休職率が高い、50代以上の管理職層で生活習慣病リスクが集中しているといった傾向も発見できるかもしれません。
このような細分化された分析により、「どの層に、どのような課題があるのか」を明確にし、ターゲットを絞った施策立案の基礎データとして活用できます。現状把握が曖昧なまま指標設定を行うと、的外れな目標を設定してしまうリスクがあるため、この段階で十分な時間をかけることが成功の鍵となります。
ステップ2:目標設定
現状把握ができたら、次は具体的な目標設定を行います。ここで重要なのは、SMARTの原則に基づいた目標設定です。
- S(Specific:具体的):「健康状態を改善する」ではなく「BMI25以上の従業員比率を20%削減する」
- M(Measurable:測定可能):数値で進捗を測定できる目標にする
- A(Achievable:達成可能):現実的に達成可能な水準に設定する
- R(Relevant:関連性):企業の経営課題や健康課題と関連性のある目標にする
- T(Time-bound:期限):「1年以内に」「2024年度末までに」など明確な期限を設ける
また、目標設定においては3つの層の指標を連動させることが重要です。
先行指標(行動・環境の変化)では「健康診断受診率100%達成」「ストレスチェック受検率95%以上」といった、比較的短期間で達成可能な目標を設定。これらは健康経営の土台となる基本的な取り組みです。
中間指標(健康状態の改善)では「BMI改善率10%向上」「高ストレス者比率5%削減」など、先行指標の達成によって実現される健康状態の改善を目標とします。
遅行指標(経営成果)では「欠勤率20%削減」「医療費10%削減」「離職率15%改善」など、最終的な経営成果に直結する目標を設定。
これらの目標を連動させることで、健康経営の取り組みから最終成果まで一貫した流れを作ることができ、途中段階での進捗確認も容易になります。
ステップ3:数値化と担当決定
目標が決まったら、各指標を正確に測定するための仕組みを構築します。この段階では指標の明確な定義と責任体制の確立が重要なポイントです。
指標の数値化では、分母・分子・測定頻度を明確に定義する必要があります。
例えば
- 欠勤率 = 欠勤日数 ÷ 総労働日数 × 100
- 健康診断受診率 = 受診者数 ÷ 対象者数 × 100
- BMI改善率 = (前年比BMI改善者数 ÷ 対象者数)× 100
このように計算式を明確にしておくことで、測定者が変わっても一貫した数値を取得できます。
担当部門の決定も同様に重要です。指標ごとに責任部門を明確にし、データ収集から分析、報告までの役割分担を決めておきましょう。
一般的には
- 健康診断関連:産業医・保健師・人事部
- 勤怠・労務関連:人事部・労務部
- メンタルヘルス関連:人事部・EAP担当
- 経営指標関連:経営企画部・人事部
データ収集の仕組みを整備することで、測定精度を高められます。健診ベンダーからの電子データ取得、勤怠管理システムからの自動集計、EAP提供会社からの定期レポートなど、手作業を減らしてヒューマンエラーを防ぐ工夫が効果的です。
ステップ4:四半期レビューで改善
指標設定が完了したら、定期的なレビューによって継続的な改善を図ります。年1回の振り返りでは改善サイクルが遅くなるため、四半期ごとのレビューを実施することをおすすめします。
レビュー会議での確認項目は以下の通りです。
- 成果の確認:目標に対する達成率と進捗状況
- 要因の分析:目標達成・未達成の背景要因の特定
- 改善策の検討:次四半期に向けた具体的なアクション
PDCAサイクルを意識したレビューを行うことで、健康経営の取り組みを継続的に改善できます。
- P(Plan):目標と施策の計画
- D(Do):施策の実行
- C(Check):指標による効果測定
- A(Action):結果を踏まえた改善
成果が出ていない場合は、目標設定が適切だったかを見直すことも重要。市場環境の変化や組織の状況変化により、当初の目標が非現実的になっている可能性もあります。このような場合は、目標の再設定や施策の強化を柔軟に行い、実効性のある健康経営を継続していくことが成功の秘訣です。
健康経営の指標はどう活用すべき?
健康経営の指標は設定して終わりではなく、経営判断や施策改善に積極的に活用することが本質です。指標を効果的に活用するためには、対象者に応じた情報の整理と伝達が重要になります。
経営層向けのダッシュボード
- 欠勤率・離職率・医療費など経営成果に直結する数値に絞って報告
- 月次または四半期ごとの推移をグラフで視覚化
- 前年同期比や業界平均との比較データも併せて提示
- 投資対効果(ROI)を金額ベースで明示
現場向けの行動指標の共有
- 健康診断受診率・長時間労働是正率・研修参加率など行動に直結する指標を重点的に伝達
- 部門別の達成状況を可視化し、健全な競争意識を醸成
- 個人情報に配慮しながら、改善事例や成功体験を共有
- 目標達成に向けた具体的なアクションプランを併せて提示
ROI(投資対効果)の算定
- 欠勤日数減少による生産性向上効果を人件費ベースで金額換算
- 離職率改善による採用コスト削減効果を数値化
- 医療費削減効果と健康経営への投資額を比較分析
- 長期的な効果予測も含めた投資判断材料として活用
このように対象者に応じて指標を整理し、適切な形で情報共有することで、健康経営の取り組みを組織全体で推進できる体制を構築できます。
健康経営の指標導入でよくある失敗
健康経営の指標設定において、多くの企業が陥りがちな失敗パターンがあります。これらの失敗を事前に把握することで、効果的な指標運用を実現できるでしょう。
指標が多すぎる
失敗例:20以上の指標を追いかけ、現場も経営層も混乱
健康経営に熱心に取り組むあまり、「あれもこれも測定したい」という思いから指標を増やしすぎてしまうケースが頻繁に見られます。健康診断関連だけで10項目、メンタルヘルス関連で5項目、勤怠関連で5項目といったように、気がつけば20以上の指標を設定してしまう企業は少なくありません。
指標が多すぎると、以下のような問題が発生します。
- 各指標の重要度が不明確になり、優先順位がつけられない
- データ収集や分析に膨大な工数がかかり、担当者が疲弊する
- 経営層への報告が冗長になり、重要なポイントが伝わらない
- 現場の従業員も何を重視すべきか混乱してしまう
重要度の高い指標5〜7項目に絞り込み、まずはそれらの指標で確実に成果を出すことに集中することが重要です。指標の精査は定期的に行い、成果が出た指標は維持し、効果の薄い指標は見直すという柔軟なアプローチを取りましょう。
健康だけで完結
失敗例:健康改善(健康診断受診率やBMI改善)だけに注力し、経営成果とつながらない
健康経営という名称から、「従業員の健康状態が改善されれば成功」と考えてしまう企業があります。確かに健康診断受診率100%達成やBMI改善率向上は重要な成果ですが、それだけでは健康経営の真の価値を示すことはできません。
この失敗パターンでは以下のような問題が発生します。
- 健康指標は改善したが、欠勤率や離職率に変化が見られない
- 経営層から「健康経営への投資効果が見えない」と指摘される
- 予算削減の対象になりやすく、継続的な取り組みが困難になる
- 健康経営が「コスト」として認識され、経営戦略として位置づけられない
健康改善から経営成果までの連鎖を意識した指標設定を行うことが重要です。
健康状態の改善が最終的に生産性向上、医療費削減、離職率改善といった経営成果にどうつながるかを明確にし、その流れを指標で追跡できるようにしましょう。
データがバラバラ
失敗例:健康診断データ・勤怠・ストレスチェック・離職率などが各部署に散在し、全社で共有できない
多くの企業では、健康関連のデータが様々な部署やシステムに分散して管理されています。健康診断データは産業医や保健師が管理、勤怠データは人事部、ストレスチェックはEAP会社、離職率は人事企画部といった具合に、データの所在がバラバラになっているケースが典型例です。
- 統合的な分析ができず、相関関係や因果関係を把握できない
- 同じデータを複数の部署で重複して集計する無駄が発生
- データの定義や集計方法が統一されておらず、比較が困難
- 経営層への一元的な報告ができず、健康経営の全体像が見えない
データ統合基盤の構築と責任体制の明確化が必要です。
健康経営推進の専任組織を設置し、各部署のデータを一元的に集約・分析できる仕組みを作ることが重要。また、個人情報保護に配慮しながら、必要なデータを適切に共有できるルールの整備も欠かせません。
これらの失敗を避けることで、健康経営の指標を効果的に活用し、持続可能な取り組みを実現できるでしょう。
指標を整理し経営に直結させることが重要
健康経営の指標設定において最も重要なポイントは、「数が多ければよい」という考え方から脱却することです。
真に価値のある健康経営を実現するためには、経営課題に直結する指標を厳選し、それらに集中して取り組むことが不可欠になります。
多くの企業が陥りがちな罠は、健康に関する様々な数値を幅広く測定することで「健康経営をしっかりやっている」という満足感を得てしまうこと。しかし、本当に重要なのは、測定した指標が企業の根本的な経営課題である離職率削減、欠勤率改善、生産性向上、医療費適正化といった成果に確実につながることです。
例えば、健康診断の各項目を細かく追跡することよりも、「高ストレス者の割合が離職率にどう影響しているか」「生活習慣病リスク者の増加が医療費や欠勤にどう関連しているか」といった経営への影響度を重視した指標選択が重要。このアプローチにより、健康経営への投資が確実に経営成果として現れ、継続的な予算確保や経営層のコミットメント獲得につながります。
指標の厳選は、健康経営を単なる「従業員への福利厚生」から「戦略的な経営施策」へと押し上げる重要な要素。
経営課題解決に直結する指標に集中することで、健康経営の真の価値を組織全体で実感できるようになるでしょう。
健康経営の指標改善には「GiveFit」
健康経営の指標設定と改善に取り組む企業にとって、従業員の健康データを効率的に収集・管理できるツールは欠かせません。健康管理アプリ「GiveFit」は、健康経営の指標改善を強力にサポートする機能を豊富に搭載しています。
毎日の健康を簡単に記録できるGiveFitなら、従業員の体重、血圧、歩数、睡眠時間などの基本的な健康データを手軽にデジタル化。紙ベースの健康記録と比べて、データの集約や分析が圧倒的に効率的になります。これにより、BMI改善率や運動習慣者比率といった重要な健康指標をリアルタイムで把握できるように。
手軽に健康管理ができるから始めやすいのもGiveFitの大きな特徴です。複雑な操作は不要で、スマートフォンから直感的に健康データを入力できるため、従業員の参加率向上にも貢献。健康プログラム参加率や継続率といった行動指標の改善につながります。
リーズナブルに従業員の健康管理が行えるGiveFitは、大規模なシステム導入に比べて導入コストを大幅に削減。限られた予算の中で健康経営を推進したい企業にとって、コストパフォーマンスに優れた選択肢です。
さらに、GiveFitで従業員の健康管理を行うことで、業務改善につながる効果も期待できます。健康データの可視化により、欠勤率や生産性といった経営に直結する指標の改善をデータに基づいて推進。健康経営の成果を確実に測定し、継続的な改善サイクルを実現できるでしょう。
健康経営の指標設定から改善まで、GiveFitが企業の取り組みを包括的にサポートします。