健康経営への取り組み事例15選を項目別に紹介!導入を成功させるコツも

近年、従業員の健康づくりを経営戦略として位置づける「健康経営」への注目が高まっています。

従業員が心身ともに健康で働けることは、生産性向上や離職率低下、医療費削減といった企業にとっての大きなメリットをもたらします。しかし、いざ健康経営に取り組もうと思っても、「何から始めればよいのか分からない」「どんな効果が期待できるのか」といった疑問を抱く経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、実際に健康経営に取り組んでいる企業の具体的な事例を15社分、項目別にご紹介します。

健康経営を効果的に推進するためには、従業員一人ひとりの健康状態を把握し、継続的にサポートすることが重要となります。健康管理アプリ「Givefit」なら、毎日の健康を簡単に記録でき、リーズナブルに従業員の健康管理が可能。手軽に健康管理ができるため導入しやすく、従業員の健康向上を通じて業務改善にもつながります。

目次

大企業・中小企業の健康経営事例を項目別に紹介

健康経営の取り組み効果は、企業によって様々な形で現れています。今回は特に以下の3つの観点から、具体的な事例をご紹介していきます。

• 人材定着率が向上した企業の事例
• メンタルヘルス改善に成功した事例
• 生活習慣病リスク低減に取り組んだ事例
• 現場職中心企業の事例
• 女性・シニア対応の事例

人材定着率が向上した企業の事例

従業員の健康づくりに積極的に取り組むことで、働きやすい職場環境を整備し、人材の定着率向上を実現した企業事例をご紹介します。

ナガオ株式会社

課題:建設業界特有の長時間労働や不規則な勤務形態により、従業員の健康管理が困難な状況でした。また、体力を要する業務が多いにも関わらず、従業員の健康状態を客観的に把握する仕組みが整っていませんでした。

取り組み:同社では、従業員の健康状態を「見える化」することから始めました。具体的には、定期的な健康診断結果のデータ化と分析を実施。さらに、現場作業員向けの熱中症対策として、作業時間の調整や水分補給の徹底、体調チェックシートの導入を行いました。また、管理職を対象とした健康管理研修も実施し、現場レベルでの健康意識向上を図っています。

効果:これらの取り組みにより、従業員の健康に対する意識が大幅に向上。労働災害の発生件数が前年比で30%減少し、従業員の離職率も改善されました。特に若手従業員からは「会社が自分たちの健康を真剣に考えてくれている」という声が多く聞かれ、職場への満足度向上にもつながっています。

参考:経済産業省 健康経営優良法人取り組み事例集

株式会社 シニアライフアシスト

課題:介護業界では夜勤や不規則な勤務が多く、従業員の心身への負担が大きいという課題がありました。また、人手不足が深刻化する中で、既存従業員の健康維持と働きやすい環境づくりが急務となっていました。

取り組み:同社では従業員のメンタルヘルスケアに重点を置いた取り組みを実施。外部のカウンセラーと提携した相談窓口の設置や、ストレスチェックの定期実施を行いました。さらに、勤務シフトの見直しにより連続勤務時間の短縮を図り、有給休暇取得の促進にも力を入れています。管理者向けには部下の心身の変化に気づくための研修も実施しています。

効果:メンタルヘルス対策の充実により、心身の不調による休職者が大幅に減少。従業員アンケートでは「安心して働ける職場」との回答が80%を超えました。結果として離職率が前年比で40%改善し、採用活動においても「働きやすい職場」として評価されるようになっています。

参考:日本創生のための将来知事応援

草津温泉 ホテルヴィレッジ

課題:観光業界では繁忙期の長時間労働や、季節による業務量の変動が大きく、従業員の健康管理が困難でした。特に接客業務では常に笑顔での対応が求められるため、従業員のストレス蓄積が問題となっていました。

取り組み:同ホテルでは「従業員の健康が最高のサービスにつながる」という方針のもと、包括的な健康支援策を導入。社内に健康相談室を設置し、看護師による健康相談を常時受けられる体制を整備しました。また、温泉施設を活用した従業員向けリフレッシュプログラムの実施や、栄養バランスを考慮した従業員食堂のメニュー改善も行っています。

効果:これらの取り組みにより、従業員の健康状態が大幅に改善。体調不良による欠勤日数が前年比で50%減少し、従業員満足度調査でも高い評価を獲得しています。健康で活き活きとした従業員により、お客様からのサービス評価も向上し、リピーター率の増加にも寄与しています。従業員の定着率向上により、採用コストの削減効果も実現しています。

参考:METI jounal online

メンタルヘルス改善に成功した事例

従業員のメンタルヘルス向上に積極的に取り組み、職場環境の改善と生産性向上を両立させた企業事例をご紹介します。

コニカミノルタ 株式会社

課題:コニカミノルタでは、メンタル不調による休務日数が2014年度のピーク時から一度は減少したものの、2019年度以降再び増加傾向にあり、アブセンティーズム(病気による欠勤)の改善が課題となっていました。また、新型コロナの感染拡大に伴うリモートワークの普及等により、働き方が変わる中で、組織全体の活力アップに向けた取り組みが必要でした。

取り組み:同社では年2回のストレスチェック実施に加え、職場のストレス度合いを4段階に分けて各組織長にフィードバックし、最もストレスの高い職場には改善策を実施しています。さらに、メンタル不調者の早期発見、早期対応を目的としたe-Learningを全管理職に実施し、産業医がテーマごとに個別作成したコンテンツで管理職の対応力向上を図っています。

効果:これらの取り組みにより、最もストレスの高い(Level4)職場が2019年度13職場から2021年度3職場に減少しました。また、e-Learningの受講率は90%超を安定的に記録し、受講者の90%以上が実施内容を有益と回答するなど、管理職のメンタルヘルス対応力が大幅に向上しています。

参考:コニカ ミノルタ株式会社

キリンホールディングス 株式会社

課題:コロナ禍により働き方が変わる中、メンタルヘルス不調者の未然防止と心身健康的で働きがいのある職場づくりが課題となっていました。従業員一人ひとりが「働きがい」を持ち、個人の持つ能力を最大限発揮できる組織風土の創出が求められていました。

取り組み:同社では、ストレスチェックの結果をもとに、高ストレス者へのアプローチを行うとともに、集団分析結果を活用し、組織の活性化とリスク軽減につなげている取り組みを実施。また、春と秋に適正飲酒研修を実施し、適切な飲酒行動の理解を深め自身の飲酒習慣、および行動の意識付けを行っているなど、包括的なアプローチを展開しています。

効果:ストレスチェック「いきいき度」が2019年112ポイントから2020年116ポイントに改善(全国平均=100)し、会社の活性度が向上しました。また、エンゲージメント調査「ワークライフバランス・働き方改革」が2018年よりも向上達成するなど、従業員の働きがい向上にも寄与しています。

参考:健康長寿産業連合会

富士フイルムホールディングス株式会社

課題:働き方の多様化が進む中で、従業員のメンタルヘルス不調の予防と早期発見が重要な課題となっていました。特に、コロナ禍でのきめ細やかなマネジメントの重要性が高まり、管理職のラインケア能力向上が急務でした。

取り組み:同社では、毎年11月、富士フイルムグループの国内全従業員を対象としたストレスチェックを一斉に実施し、組織分析の結果をもとに健康リスクが高い職場については、産業医、人事部門で連携して職場環境改善に取り組んでいます。また、2021年6月には、富士フイルムグループの国内全役員・管理職を対象としたラインケア研修をeラーニング形式で実施し、管理職の対応力向上を図っています。さらに、2022年度からは、メンタルヘルス相談窓口(電話・Web・面談)を設置し、24時間サポートできる体制を構築しました。

効果:これらの取り組みにより、従業員が自分でストレスチェックと同じ内容のセルフチェックをいつでもできる環境が整備され、予防的なアプローチが強化されました。管理職からは「上司として部下への対応の重要性が身に染みた」「部下が相談できる上司でありたい」と有意義な研修であったコメントが多く寄せられ、ラインケアの質的向上が実現しています。また、24時間相談体制の構築により、従業員がいつでも専門的なサポートを受けられる安心感が醸成されています。

参考:富士フイルムホールディングス株式会社

生活習慣病リスク低減に取り組んだ事例

働き盛り世代の健康維持に欠かせない生活習慣病の予防・改善に積極的に取り組み、従業員の健康指標向上を実現した企業事例をご紹介します。

塩野義製薬株式会社

課題:2022年度の定期健康診断結果から、SHIONOGIの従業員は肥満・脂質や肝機能・飲酒習慣リスクに課題があることが示されました。健康計測機器を製造する企業として、従業員自身が健康であることは事業戦略上も重要な意味を持っていました。

取り組み:同社では包括的な生活習慣病対策を展開。重症化予防プログラム:面談実施、保健指導や医療機関への受診勧奨や特定保健指導プログラム:「積極的支援」「動機付け支援」の面談実施、管理栄養士等との目標設定・電話やメール・面談などを実施しています。また、AI食事管理アプリによる食事習慣の改善、社員食堂でのヘルシーメニューの提供や、従業員の食習慣改善にフォーカスしたオンラインセミナーも開催しています。

効果:これらの取り組みにより、生活習慣病リスクの改善が着実に進んでいます。有所見者率で肥満が24.0%、脂質が32.7%となり、目標値(肥満15%以下、脂質25%以下)に向けて改善傾向を示しています。また、セミナー参加者対象のアンケートでは高い行動変容意欲が示されましたなど、従業員の健康意識向上にも大きく寄与しています。

参考:塩野義製薬株式会社

静岡部品株式会社

課題:若い従業員が病気になり、復職ができなかった過去があり、「何かできることがあったのでは」と考え、健康経営に取り組みはじめました。従業員の健康状態を把握し、病気の早期発見・予防が急務でした。

取り組み:同社では従業員の健康を「見える化」する取り組みを中心に展開。健康チェックコーナーや「健康の日」を毎月定め、ヘルシー弁当の提供を行い、静岡県との連携で血圧測定習慣化促進事業を開始し、血圧リスクを見える化しました。さらに、上司との仕事について相談する面談の中でも健康について相談できるように面談表を変更し、より病院に行きやすい環境を整えています。

効果:これらの取り組みの成果は劇的でした。傷病日数は2018年の682日から2022年には129日まで減少し、休職人数も0人となりました。さらに、特定保健指導の人数は2017年の31人から2022年には14人に減少し、健康経営の効果を従業員も実感しています。健康リスクの早期発見と適切な指導により、生活習慣病の予防・改善が大幅に進んだ好事例となっています。

参考:健康優良法人2023中小規模法人部門

株式会社タニタ

課題:健康計測機器メーカーとして、2008年に始めた「特定健診・特定保健指導」を機に、40歳から74歳までの人を対象にメタボリックシンドロームに特化した検診を行い、生活習慣病リスクの高い人に必要な保健指導を行う必要性を認識しました。しかし、従業員の健康状態把握と継続的な改善支援の仕組みが不十分でした。

取り組み:同社では「はかる→わかる→きづく→かわる」という健康づくりのPDCAサイクルを基盤とした包括的な施策を展開。活動量計を社員証として利用し、活動量のほかオフィスへの入退館の管理にも活用し、計測ルーム(体組成計・血圧計)の設置により日常的な健康データ収集を可能にしています。また、産業医による健康診断結果ハイリスク者との面接・生活習慣改善指導や40歳未満のメタボリスク者に対するグループ支援、メタボリスク者に対する宿泊型グループ支援など、リスクレベルに応じたきめ細かい指導を実施しています。

効果:データヘルスの実践により、年度初旬に社員が受けた検診健康診断や人間ドックの結果を集計して施策を検討し、下半期を中心に新たな施策を実施して、翌年度の健診健康診断・人間ドックの結果から効果をはかるサイクルを確立。この結果、健康経営優良法人の認定を受けるなど、その実績は誰もが知るところとなり、効果が確認できた取り組みについては、タニタグループ各社が随時パッケージ化し、新しい商品やサービスとして提供するなど、自社の健康経営ノウハウを社会に還元する好循環を生み出しています。

参考:厚生労働省

現場職中心企業の事例

製造業や現場作業が中心の企業において、労働環境の特性を踏まえた健康経営の取り組みを実施し、従業員の安全と健康確保を実現した企業事例をご紹介します。

株式会社サワイ

課題:同社グループでは、グループ人事部が中心となり、各事業会社の工場や主たる事業所の産業医、看護師・保健師、その他の安全衛生担当者が連携し、健康経営を推進する施策を企画し、多様な取り組みを推進していますという体制を整備する中で、現場作業員の安全確保と健康維持が重要な課題となっていました。製薬業界の工場における作業環境の特殊性から、従業員の心身の健康づくりが不可欠でした。

取り組み:同社では勤務する社員が50人を超える事業所では、法令の定めに従い安全衛生委員会を毎月開催し、各職場の代表や産業保健スタッフらが事業所長等の会社側代表者と議論を交わすことにより、社員全員が安心して働ける職場環境づくりを労使一体となって推進しています。グループ行動基準に基づいた組織的なアプローチにより、製造現場での安全性向上と従業員の健康保持増進を両立させています。

効果:労使一体となった継続的な取り組みにより、製造現場での労働環境が大幅に改善されました。月次の安全衛生委員会による定期的な課題把握と改善により、従業員が安心して働ける職場環境が構築され、製薬業界における現場職の健康経営モデルケースとなっています。

参考:株式会社サワイ

村田製作所

課題:ムラタでは、経営資本を”社是の実践を通じて培ってきた価値創造の源泉”と位置付けています。なかでも「人」は価値創造の中核であると考えており、人的資本における重要課題のひとつである「エンゲージメント」に、安全・安心な職場と健康経営を掲げています。電子部品製造という精密作業が求められる現場において、従業員の心身の健康と安全な作業環境の確保が重要な経営課題でした。

取り組み:同社では2030年のありたい姿を「安全な職場で、従業員一人ひとりが自身のことを健康だと実感しながら、働けていること」と設定し、包括的な取り組みを展開。管理技術大会(安全衛生含む)の開催や健康経営アプローチやリスクアセスメント仕組みの見直しなどによる安全文化の醸成、安全衛生教育体系の改善や社外コンサルタントによる安全評価や次世代の安全衛生担当者の育成を実施しています。また、福井村田製作所MS (Murata Safety)センター 危険体感研修など、現場作業員向けの実践的な安全教育も充実させています。

効果:これらの取り組みにより、経営・管理職層が責務を負う「安全配慮義務」と、従業員自身が担う「自己保健義務」との両輪による安全第一主義の職場環境と従業員の危険感受性の向上を実現。現場職特有のリスクに対応した健康経営により、労働災害の未然防止と従業員の健康意識向上を両立させています。また、健康経営優良法人ホワイト500の取得など、外部からの評価も獲得しています。

参考:村田製作所

株式会社フクネツ

課題:福岡県糟屋郡の株式会社フクネツ様では、金属部品の熱処理・機械加工・研削を手がけられていますという製造業において、製造業未経験の新入社員が金属加工のプロフェッショナルになれるよう、教育やスキルアップにも注力しており、「社員のみんなには、長く健康に働いてほしい」という思いから健康経営に取り組む必要がありました。また、外国人従業員も多く働く職場環境において、多様な背景を持つ従業員の健康管理が課題でした。

取り組み:同社では2021年から健康経営を本格的にスタートさせて健康経営優良法人2022を取得し、優秀な法人のみに贈られるブライト500にも認定されました。健康診断、メンタルヘルスチェックやインフルエンザワクチン接種に加え、禁煙外来への全額補助や、食事改善、運動促進への活動を行っておりますという包括的な健康支援を展開。特に、先輩の日本語が堪能なベトナム人従業員が、後輩のベトナム人従業員に仕事を教える仕組みを整えたり、住居手当を支給したりなど、外国人の方も働きやすい環境づくりにも力を入れています。

効果:「健康経営優良法人を取得すると外国人従業員のビザの在留期限が拡大されて、長く働いてもらいやすくなる」という具体的なメリットを実現し、人材確保の面でも大きな成果を上げています。金属加工という技術習得に時間を要する業界において、健康経営を通じて従業員の定着率向上と技術継承の仕組みを構築。多文化共生の職場環境づくりと健康経営を両立させた先進的な事例となっています。

参考:健康経営DSマガジン

女性・シニア対応の事例

少子高齢化が進む中で、多様な働き手の健康支援が企業の持続的成長に不可欠となっています。女性特有の健康課題やシニア世代の健康維持に重点的に取り組み、成果を上げている企業事例をご紹介します。

花王株式会社

課題:人員構成や健康課題から導き出された6つの取り組み(生活習慣病・がん・禁煙・シニア・女性・こころ)の中で、特に女性とシニアの健康課題への対応が重要な経営課題となっていました。22年の改訂版では「シニアの健康」が取り組みに追加され、高齢化する従業員への対応も新たな課題として浮上していました。

取り組み:同社では2014年4月に「女性の健康支援プロジェクト」を発足。「女性相談員」の育成や、各種セミナー・勉強会の開催など、女性の心身に関する問題を気軽に学べ相談できる体制を整えています。また、多くの外勤の女性社員(美容部員と呼ばれる店頭で化粧品を販売する社員)が全国に点在していることを考慮し、どこからでも誰でもメールで相談できる「女性の健康相談窓口」を設置し、産業医が回答し、症状の悩みに対する対処法や社内で使用できる人事制度を紹介する等のサポートをしています。シニア対応では、高年齢化する健保が行うべき施策として、「自分の健康は自分で経営する視点」を持ち、「卒業後も自己管理できること」と捉え、更なる重症化予防≠適正医療、ロコモ、フレイル・オーラルフレイル対策、前期高齢者支援も必要だと考え、包括的な取り組みを展開しています。

効果:これらの取り組みにより、定期健診に婦人科がん検診を組み込んでいるため、検診受診行動が定着しており、女性のがんの半数以上が検診から発見できていますという大きな成果を上げています。また、3か月に1回、イントラネットを通じて、ライフステージに応じた女性の健康に関する情報発信を行っている。テーマは毎回「生理痛」「更年期」など、ターゲットとする年代を替え、年間を通して全年代にアプローチできるように設定している。男性社員の閲覧もあり、女性特有の健康状態について知ってもらう機会となっていますなど、職場全体での理解促進も進んでいます。

参考;花王株式会社

パソナグループ

課題:パソナグループは、女性の社会進出を応援したいという想いから創業し、グループ内でも現在多くの女性社員が活躍しています。昨今、企業には女性活躍推進が求められていますが、女性特有の健康課題が業務パフォーマンスに与える影響への対応が課題でした。また、全従業員のヘルスリテラシー向上も重要な課題となっていました。

取り組み:同社では女性従業員の健康づくりの一環として、男性従業員も含めた「リテラシー向上」や一人ひとりの悩みをサポートする「環境整備」を進めています。具体的には、産婦人科医による女性の健康講座を全従業員を対象に実施したり、産婦人科医・小児科医によるオンライン相談窓口を設置したりと、男女で異なる健康課題への理解促進や気軽に相談できる環境づくりを行っています。また、パソナグループでは女性の健康作りのための取り組みとして、産婦人科医師による女性の健康講座を全従業員に実施しています(年間15回)。さらに産婦人科医・小児科医によるオンライン相談窓口を用意し、気軽なチャット相談や音声や動画、電話などで時間をかけて相談できる夜間相談窓口を提供しています。

効果:これらの取り組みの結果、婦人科検診の受診率が向上し、20代・30代女性においてプレゼンティーズムの大幅な改善が見られました。また、受講後のアンケートでは96%が「大変満足・満足」と回答しています。男性管理職からは「今後のスタンスや接し方に役立ちそう」、女性社員からは「日頃の不調の原因のひとつがPMSであることを知った」などの感想が寄せられました。導入前と導入約3カ月後の比較調査では、ヘルスリテラシーと業務パフォーマンスの両方が上昇しましたという具体的な成果を実現しています。

参考:パソナ

ヤフー

課題:女性従業員のための健康支援として、2014年4月に「女性の健康支援プロジェクト」を発足する背景には、女性特有の健康課題が業務パフォーマンスに与える影響への対応が必要でした。IT企業として多様な働き方が求められる中で、女性従業員が安心して働き続けられる環境づくりが課題となっていました。

取り組み:同社では「女性相談員」の育成や、各種セミナー・勉強会の開催など、女性の心身に関する問題を気軽に学べ相談できる体制を整えています。2018年度から北九州オフィス、八戸オフィスでもプロジェクトを発足し、事業所ごとの取り組みも広がっています。具体的な施策として、外部講師による社内セミナーやイベントの開催として「女性のがん」「女性ホルモン」「レジリエンス」「男性学」「ライフキャリアデザインシートの書き方ワークショップ」「ウォーキング体験会」「オンラインランチ会」「女性の身体と生涯にわたる健康課題」を実施。また、3月1日~8日の女性の健康週間にあわせた啓発活動も定期的に行っています。

効果:2022年度、ヤフー株式会社は経済産業省および日本健康会議による「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」通称「ホワイト500」に7年連続で認定されましたという外部評価を獲得。全社的な健康経営の取り組みの中で、女性の健康支援が重要な要素として機能していることが評価されています。女性従業員が安心して相談できる環境整備により、健康課題の早期発見・対応が可能となり、職場全体の生産性向上に寄与しています。

参考:経済産業省

健康経営導入の流れ

健康経営を効果的に導入するためには、段階的なアプローチが重要です。以下の6つのステップで進めることで、自社に適した健康経営を実現できます。

①現状分析

従業員の健康課題、離職率、ストレス状況などの把握を行います。健康診断結果の分析、従業員アンケート、ストレスチェック結果などを活用し、自社の健康課題を明確にしましょう。

②経営層の合意形成

健康経営の目的とROI(投資対効果)を明確化し、経営陣の理解と支援を得ます。健康経営宣言の策定や、予算確保、推進体制の構築が重要となります。

③計画立案

年間計画・評価指標の設定を行います。現状分析で明らかになった課題に対する具体的な施策と、成果を測定するためのKPIを設定しましょう。

④施策実施

健康診断強化、メンタルヘルス対策、運動習慣プログラムなどの具体的な取り組みを実行します。従業員の参加しやすさや継続性を重視した施策設計が効果的です。

⑤効果測定

定量・定性の両面から評価を実施します。健康指標の改善度合いだけでなく、従業員満足度や職場の雰囲気の変化なども含めて総合的に評価しましょう。

⑥改善・継続

次年度計画に反映させ、PDCAサイクルを回します。効果が上がった施策は継続・拡大し、課題があった点は改善して次年度に活かすことで、健康経営の質を継続的に向上させていくことが重要です。

健康経営の導入を成功させるコツ

健康経営を成功に導くためには、戦略的なアプローチが不可欠です。以下の2つのコツを押さえることで、効果的な健康経営を実現できます。

まずはスモールスタートから検証する

健康経営の導入は、最初から全社規模で展開するのではなく、小規模・短期間のパイロット施策から始めることが重要です。

例えば、一部部署でウォーキングイベントを実施し、参加率・満足度・業務への影響を分析します。この手法により失敗時のリスクを最小限に抑えながら、施策の有効性を検証できるでしょう。

パイロット施策で得られた具体的なデータや従業員の声は、経営層や他部署への説得材料として非常に有効です。成功事例を積み重ねることで社内の理解と協力を得やすくなり、段階的な拡大が可能となります。

また、小規模での実施により、施策の課題や改善点を早期に発見し、本格展開前に修正できるメリットもあります。「まず試してみる」という姿勢が、健康経営の成功確率を大幅に高めます。

経営課題と紐づける

健康経営を単なる福利厚生の強化として捉えるのではなく、企業の経営戦略の一部として位置づけることが成功の鍵となります。

健康施策は必ず企業の経営指標と直接リンクさせましょう。離職率の低下、生産性の向上、医療費の削減など、定量的に測定できる経営成果との関連性を明確にすることで、投資対効果を示すことができます。

例えば「メンタルヘルス対策により休職者が30%減少し、年間○○万円のコスト削減を実現」といった具体的な成果を示すことで、健康経営の価値を経営層に理解してもらえます。

健康経営は従業員の福利厚生ではなく、人的資本への戦略的投資であることを社内に浸透させることで、継続的な予算確保と組織的な取り組みが可能となるでしょう。経営課題の解決手段として健康経営を位置づけることで、真の成果を生み出すことができます。

健康経営への取り組みなら「Givefit」から

健康経営への取り組むをお考えでしたら、健康管理アプリ「Givefit」の導入を是非ご検討ください。

Givefitの特長

毎日の健康を簡単に記録:従業員一人ひとりが日々の体調や運動量を手軽に入力でき、継続的な健康管理をサポートします

手軽で始めやすい健康管理:複雑な操作は不要。シンプルな操作で誰でも簡単に使い始められるため、全従業員での健康管理が実現できます

リーズナブルな料金体系:中小企業でも導入しやすい価格設定で、コストを抑えながら本格的な従業員の健康管理が可能です

業務改善にもつながる効果:従業員の健康状態を把握することで、適切な業務配分や職場環境の改善につながり、生産性向上も期待できます

健康経営の第一歩として、まずは従業員の健康状態を「見える化」することから始めてみませんか。Givefitなら、今日からでも健康経営をスタートできます。

従業員が健康で活き活きと働ける職場づくりを通じて、企業の持続的成長を実現しましょう。

お気軽にご相談ください。

村上克利
代表取締役
13年間にわたりパーソナルジム「POLUM」を経営し、幅広い世代・職業層の健康改善をサポート。
身体づくりに合わせ、メンタル面や生活習慣の改善にも注力し、多くの顧客から「続けられる健康習慣」を引き出す指導を行う。

その豊富な現場経験を企業向けの健康経営に応用し、従業員の健康増進と組織の活性化を目的とした健康管理アプリ「Givefit」を開発。

「Givefit」では、個人の健康データをもとにした最適なアドバイスや行動プランを提供。
健康習慣の定着を支援し、企業全体の生産性向上や離職防止に貢献。
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