ウェルビーイング経営の事例を項目別に紹介!事例から見る成功ポイントも解説

近年、企業経営において「ウェルビーイング」という言葉を耳にする機会が増えてきました。従業員の心身の健康や幸福感を重視する経営スタイルは、単なる福利厚生の充実にとどまらず、企業の生産性向上や離職率の低下にもつながる重要な取り組みとなっています。

しかし、実際にどのような施策を行えば良いのか、他社ではどんな成功事例があるのか気になる経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、さまざまな企業のウェルビーイング経営の具体的な事例を項目別にご紹介し、成功のポイントを解説していきます。

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ウェルビーイング経営とは「社員の幸福と企業の成長を両立させる」経営スタイル

ウェルビーイング経営とは、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、幸福を実感しながら働ける環境を整えることで、企業の持続的な成長を目指す経営手法のこと。

単に給与や待遇を改善するだけでなく、働きがいややりがい、良好な人間関係、ワークライフバランスなど、従業員の幸福感を多角的に高めることを重視した考え方です。

従来の日本企業では、企業の利益を最優先し、従業員はその目標達成のための手段として捉えられがちでした。しかし、ウェルビーイング経営では「従業員の幸福」と「企業の成長」を対立するものではなく、相互に高め合う関係として位置づけています。

具体的には、従業員が心身ともに健康で幸せな状態で働けると、創造性や生産性が向上し、離職率も低下します。その結果、企業全体のパフォーマンスが向上し、持続的な成長につながるという好循環が生まれるのです。

また、ウェルビーイング経営は単なる福利厚生の充実とは異なる点に注意が必要。福利厚生は待遇面での施策が中心ですが、ウェルビーイング経営はより包括的に、従業員の精神的な充実感や働く意義、成長実感なども含めた総合的なアプローチとなります。

人材不足や働き方改革が叫ばれる現代において、ウェルビーイング経営は企業の競争力を高める重要な戦略として注目を集めています。

【項目別】事例でみるウェルビーイング経営10選

ここからは、実際の企業がどのようにウェルビーイング経営を実践しているのか、具体的な事例をご紹介していきます。項目別に整理することで、自社に取り入れやすい施策が見つかるはずです。

経営トップが主導するウェルビーイング経営

ウェルビーイング経営を成功させるには、経営トップの強いコミットメントが不可欠。トップ自らが従業員の健康と幸福を重視する姿勢を示すことで、組織全体に取り組みが浸透していきます。ここでは、経営層が率先してウェルビーイング経営を推進している企業の事例をご紹介します。

DeNAの事例

DeNAは2016年に健康経営の専門部署「CHO室」を設立し、他社に先駆けてウェルビーイング経営に取り組んできました。

最大の特徴は、トップの強力な後押しのもと、専門部署が設置された点です。当初は担当者が個人的に健康支援活動を行っていましたが、創業者の南場智子氏に直接プレゼンを重ね、正式な部署として認められました。

具体的な施策としては、健康セミナーを年間100回開催するなど、従業員のヘルスリテラシー向上に注力。新卒社員向けには健康研修プログラムを導入し、若いうちから健康意識を高める取り組みを実施しています。

コロナ禍でリモートワークが主流になった際も、オンラインヨガ教室やウォーキングイベントなど、働き方の変化に合わせた施策を展開。リモート環境下でも社員の主観的健康状態と健康意識が過去最高値を記録するなど、着実な成果を上げています。

参照:“ウェルビーイング”に資する。DeNA「健康経営」の今までとこれから

丸井グループの事例

丸井グループは1962年の健康保険組合設立以来、60年以上にわたり健康経営に取り組んできた企業です。

経営トップのコミットメントが際立っており、代表取締役社長自らが「すべてのステークホルダーのしあわせのために、自分、社会、将来世代にとって意義のある仕事にチャレンジする」というビジョンを掲げています。

組織体制も充実しており、2015年にCHO(健康経営推進最高責任者)を設置し、2021年にはCWO(Chief Well-being Officer)に進化。産業医が執行役員として経営に参画する体制を整えました。

特徴的なのは、自ら手を挙げて参加する「Well-being推進プロジェクト」の存在。小論文で選抜されたメンバーが1年間活動し、その経験者が社内に広がることで、組織全体にウェルビーイングの文化が根付いています。

2018年から5年連続で「健康経営銘柄」に選定されるなど、外部からも高く評価されています。

参照:丸井グループ

積水ハウスの事例

積水ハウスは「幸せ健康経営」という独自のコンセプトのもと、従業員の心身の健康と幸福度向上に取り組んでいます。

最大の特徴は、健康経営を第6次中期経営計画に明確に位置づけ、経営戦略の一つとして推進している点。単なる福利厚生ではなく、企業成長の重要な要素として捉えています。

具体的には「幸せ健康チャレンジ6」という取り組みを展開し、従業員が6つのカテゴリーから自分に合った健康づくりを選べる仕組みを構築。AIによる健診結果活用サービスも導入し、個々の健康状態に応じたサポートを提供しています。

また、日本企業で初めて「幸せ度調査」を実施し、約27,000名の従業員の幸福度を可視化。幸せワークショップを開催して、個人と組織の幸せ度向上につなげています。

これらの取り組みにより「健康経営優良法人ホワイト500」に認定されています。

参照:積水ハウス

トヨタの事例

トヨタ自動車は「幸せの量産」をミッションに掲げ、従業員のWell-beingを追求しています。

特徴的なのは、2021年から「Emotional Well-Being研究会」を立ち上げ、多様な専門家と共に「幸せとは何か」という根本的な問いを議論している点。生物学、臨床心理学、ゲーム学など、さまざまな分野の知見を統合しながら、独自のWell-being概念を構築しています。

製造現場で働く従業員に着目し、日本・米国・欧州から30人以上が集まって議論を実施。チーフ・サステナビリティ・オフィサーやチーフ・サイエンティストも参加し、経営トップ層が直接現場の課題に向き合っています。

「仕事を愛するための方法とは何か」という問いを起点に、従業員一人ひとりの価値観を認め合う文化づくりに注力。「三性の理」という哲学的視点を取り入れ、善悪の二元論を超えた多元的な議論を重ねています。

従業員のWell-beingを科学的に体系化し、持続的な製造業への刷新を目指しています。

参照:トヨタ自動車

働き方を変えるウェルビーイング経営

ウェルビーイング経営を実現するには、柔軟な働き方の制度整備が欠かせません。単に制度を導入するだけでなく、従業員が実際に活用できるような運用面での工夫も重要になります。ここでは、働き方改革を通じてウェルビーイングを実現している企業の事例をご紹介していきます。

富士通の事例

富士通は「一人ひとりが、自身の大切にしている価値観に向き合い、仕事と生活を通じて、未来の幸せに日々向かっている」という独自のウェルビーイング定義を掲げています。

ウェルビーイングを構成する要素として、キャリア実現のための成長、適正で公平な報酬、他者や社会とのつながり、心身の健康という4つのカテゴリーを重視。これらが相互に影響し合うことで、従業員が自己実現に向かえる状態を目指しています。

推進体制も充実しており、CHRO(最高人事責任者)が担当となり、グローバル全体で活動を展開。各地域からリージョンリードを任命し、地域ごとの特性に応じた施策を実施している点が特徴的です。

具体的な施策としては、ウェルビーイングセッションを定期開催し、従業員同士で価値観の違いについて議論する場を設けています。2024年度には約12万人の従業員を対象にウェルビーイングサーベイを実施し、データ分析に基づいた施策立案を進めています。

2030年には企業文化への融合と社会貢献を目指し、段階的にウェルビーイング経営を進めている企業です。

参照:富士通

サイボウズの事例

サイボウズは「100人100通りのマッチング」というコンセプトのもと、多様な働き方を実現している企業として知られています。

健康に対する考え方がユニークで、「障害や病気のない状態」ではなく「その人自身の最大限のパフォーマンスが出せる状態」を健康と定義。一人ひとりの違いを前提とした健康経営を展開しています。

推進体制として「すこやか推進部」を設置し、保健師も在籍。月に1回、各本部の代表者と産業医で構成する「すこやか推進委員会」を開催し、健康経営に関する議題を討議しています。

特徴的なのは、健康経営がトップダウンではなく、全社員が主体的に関わる仕組み。社内のkintone上に「すこやか窓口」を開設し、いつでも産業医や保健師に相談できる環境を整えています。

また、独自の「Cybozu Condition Survey」を用意し、自分の健康状態を可視化。公開範囲を個人が選択できるため、メンバー同士で調子を確認したり、自分専用のチェックに活用したりと柔軟に使えます。

短時間勤務やフレックスタイム制、在宅ワークなど多様な働き方を組み合わせることで、治療と仕事の両立も可能にしています。

参照:サイボウズ

メルカリの事例

メルカリは2021年9月から「YOUR CHOICE」という新しいワークスタイルを導入し、働き方の自由度を大幅に高めました。

最大の特徴は、オフィス出社とフルリモートワークを社員それぞれが選択できる点。日本国内であれば住む場所や働く場所についても従業員が各自選択でき、通勤交通費は月15万円を上限に実費支給されます。

このワークスタイルは「個人と組織のパフォーマンスおよびバリュー発揮がもっとも高まる働き方を、自ら選択して決めることができる」というコンセプトで設計されています。

マネージャーはワークスタイルを推奨することはできますが、最終的には各個人が自らだけでなくチームのパフォーマンスを考えて決定。出社の有無によって社員が不公平な扱いを受けることはありません。

2020年2月からの原則在宅勤務を経て、約1年半のトライアル期間を設けて検証。「通勤時間の短縮」「業務効率の向上」などリモートワークの利点と、「オンボーディング」などオフィス出社の利点を見極めた上で、両者のメリットを活かせる制度設計を実現しました。

多様な人材が活躍できる環境づくりと、世界的に競争力のある組織づくりを両立させている事例です。

参照:メルカリ

NTTファイナンスの事例

NTTファイナンスは、NTTグループの金融中核会社として、サステナビリティ経営を推進する中で「Well-beingの実現」を5つの重要テーマの一つに位置づけています。

同社のウェルビーイング経営の特徴は、人材の多様性を尊重し、異なる意見や価値観を受け入れることがイノベーションの源泉になるという考え方にあります。社員一人ひとりを尊重し、多様性を受け入れることで、社員全体が安心して働ける環境の提供と、プロフェッショナルなサービス提供の両立を目指しています。

働き方改革の面では、「ワークインライフ」という独自のコンセプトを掲げています。これは単なるワークライフバランスではなく、仕事も含めた人生全体の充実を重視するもの。リモートワークとオフィス出社を組み合わせた柔軟な勤務体制や、フレックスタイム制度を活用することで、社員が自分なりの働き方を実践できる環境を整えています。

人材育成については、社員が自律的にキャリアビジョンを確立し、実現に向けたキャリアデザインを明確化できるよう、階層別のキャリア形成プログラムを充実させています。企業倫理、人権啓発、情報セキュリティ、DX・デジタル知識など、全社員に共通して必要な基礎知識・スキルを習得する研修を実施するとともに、各階層で求められる役割意識の醸成に向けた研修も展開しています。

また、デジタルデータを活用した社員の状態把握にも取り組み、データに基づいた適切な人材育成を進めています。

NTTグループの信頼と安定性を基盤としながら、社員のウェルビーイング実現と事業成長を両立させている企業です。

参照:NTTファイナンス

現場から生まれるウェルビーイング経営

ウェルビーイング経営は、経営層からのトップダウンだけでなく、現場の声を活かしたボトムアップの取り組みも重要。従業員一人ひとりが主体的に参加し、チーム運営を工夫することで、組織全体の幸福度を高めることができます。ここでは、現場主導のウェルビーイング経営を実践している企業の事例をご紹介します。

日本郵船の事例

日本郵船は海上・陸上の両方で働く従業員の健康経営を推進している企業です。

組織体制の特徴は、社長を最高責任者とし、人事グループ、産業医、保健師、健康保険組合、労働組合が一体となって推進している点。月に一度開催される衛生委員会では、社員代表として労働組合の代表も出席し、労務状況や健康管理について意見交換を実施しています。

海上勤務の船員に対しては、独自の取り組みを展開。船陸間通信環境の拡充に着手し、Starlinkの導入を進めることで、船員が陸上の家族や友人と円滑にコミュニケーションをとれる環境を整備しています。通信環境の改善は遠隔医療の導入にもつながり、ビデオ通話での診察が可能になりました。

また、各地で船員集会を開催し、船員や留守家庭との交流を図っています。家族会との対話を通じて福利厚生を拡充するとともに、過去の事故事例を共有する場としても機能。現場の声を直接聞くことで、実効性の高い施策につなげています。

社員食堂では管理栄養士考案の健康メニューを提供し、カロリーや塩分、アレルギーを表示。産業医によるセミナーも定期開催し、日常生活に取り入れやすい健康情報を発信しています。

「チャリティRUN+WALK+α」という独自イベントも実施。ランニングやウォーキングを通じてグループ社員の健康増進を図りながら、参加実績に応じた寄付を行うことで社会貢献にもつなげています。

参照:日本郵船

ファーストリテイリングの事例

ファーストリテイリングは「世界一『安全で健康に働ける会社』になる」という目標を掲げ、代表取締役会長兼社長名で全社に宣言しています。

2014年に設置した「ファーストリテイリング ウェルネスセンター」が中心となり、国内2カ所の拠点と全国約120人の産業医や保健師、産業カウンセラーが連携。グローバルでも各国・各地域に安全担当者を置き、統一した安全衛生活動を推進しています。

重点課題として「FR健康課題(禁煙)」「ヘルスリテラシーの向上」「メンタルヘルスの強化」の3つを特定。特に従業員の約7割を女性が占めることから、貧血対策に注力しており、再受診率100%を目指して個別対応を実施しています。

健康診断会場では健康保険組合と協働で健康教育を実施し、参加率は81.7%と高水準。クイズ形式を取り入れることで、従業員が楽しみながら参加できる工夫をしています。

現場の声を活かした取り組みも充実しており、新人・新任管理職に対する定期研修、衛生管理者・衛生推進者へのオンライン教育、毎月の安全衛生委員会での議論など、多層的なアプローチで安全衛生活動を展開。

労働時間管理も徹底しており、六本木・有明本部では毎日18時に消灯することで帰宅を促進。長時間労働を慢性的に行っている従業員がいる場合は、人事部とウェルネスセンターが面談し、解消に向けた取り組みを実施しています。

3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されるなど、その取り組みは外部からも評価されています。

参照:ファーストリテイリング

働く環境から変えるウェルビーイング経営

オフィス環境や職場のレイアウト、設備の工夫など、物理的な働く環境を整えることもウェルビーイング経営の重要な要素。快適で働きやすい空間づくりは、従業員の生産性や創造性を高めることにつながります。ここでは、働く環境の改善を通じてウェルビーイングを実現している企業の事例をご紹介します。

コクヨの事例

オフィス家具メーカーであるコクヨは、「ワークとライフの新しいスタイルを社会に提案し豊かな生き方を創造する」という考えのもと、自社でWell-beingを実践している企業です。

最大の特徴は、社内のWell-being向上のための取り組みで得られた気づきを、そのまま社会に提案している点。自社が実験場となり、そこで生まれた知見を商品やサービスとして展開することで、社会全体のWell-beingにも貢献しています。

社内のWell-being向上に向けては、「時間に対する価値観の変革」と「人材活性化と成長支援」に注力。多様な働き方を実践するとともに、一人ひとりが自らの可能性を高めて豊かなキャリアを形成できる環境を整備しています。

注目すべきは、ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」の存在です。このオフィスはインクルーシブデザインの実証実験の場として機能しており、多様な個性を持つ社員が刺激し合いながら、インクルーシブなモノ・コトの創出に挑戦しています。

インクルーシブデザインの取り組み方針「HOWS DESIGN」では、4つのプロセスを設定。「社会のバリアを見つける」「解決方法のアイデアを検討する」「試作品で検証する」「具体的な商品やサービスで検証する」という流れで、誰もが使いやすい商品開発を進めています。

コクヨらしいインクルーシブデザインや、対話を通じたダイバーシティオフィスの設計手法を社会に提供することで、多様な人と社会のWell-being向上につなげている好事例といえます。

参照:コクヨ

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事例から見るウェルビーイング経営成功のポイント

ここまで10社の具体的な事例をご紹介してきました。それぞれの企業が独自の工夫を凝らしていますが、成功している企業には共通するポイントがあります。ここでは、事例から見えてきた3つの重要な成功要因を解説していきます。

成功のポイントは以下の3つです。

  • ガバナンスの設計に経営層が関与している
  • 運用と文化まで落とし込んでいる
  • KPIの測定と透明性を確保している

ガバナンスの設計に経営層が関与している

ウェルビーイング経営を成功させている企業の第一の共通点は、経営トップが強くコミットし、組織のガバナンス設計に深く関与していることです。

DeNAでは、創業者の南場智子氏に直接プレゼンを重ねてCHO室を設立。丸井グループでは代表取締役社長自らがWell-beingのビジョンを掲げ、2015年にCHOを設置し、2021年にはCWOに進化させました。産業医を執行役員として経営に参画させる体制も構築しています。

積水ハウスは第6次中期経営計画に「幸せ健康経営」を明確に位置づけ、単なる福利厚生ではなく経営戦略の一つとして推進。トヨタではチーフ・サステナビリティ・オフィサーやチーフ・サイエンティストが研究会に直接参加し、現場の課題と向き合っています。

富士通ではCHROが担当となり、サステナビリティ経営委員会で半期ごとに活動進捗を確認し、経営会議に報告する体制を整備。日本郵船は社長を最高責任者とし、組織横断的な推進体制を構築しています。

このように成功している企業では、経営トップが単に「応援する」だけでなく、予算配分や人員配置、組織体制の構築といった具体的な意思決定に関与しています。専門部署を設置し、CHOやCWOといった責任者を明確にすることで、全社的な取り組みとして推進できる基盤を作っているのです。

ウェルビーイング経営は長期的な投資であり、短期的な成果が見えにくい面もあります。だからこそ、経営層の強いコミットメントと明確なガバナンス設計が、継続的な取り組みを支える土台となります。

運用と文化まで落とし込んでいる

制度を整えるだけでなく、それを実際に運用し、組織文化として定着させることが、ウェルビーイング経営成功の第二のポイント。

丸井グループでは、自ら手を挙げて参加する「Well-being推進プロジェクト」を展開。小論文で選抜されたメンバーが1年間活動し、その経験者が職場に戻ることで、知見が組織全体に広がっていきます。トップ層向けの「レジリエンスプログラム」も実施し、受講者の職場ではストレス度が改善され、ワークエンゲージメントが向上しています。

サイボウズは健康経営をトップダウンではなく、全社員が主体的に関わる仕組みを構築。社内のkintone上に「すこやか窓口」を開設し、誰でも気軽に相談できる環境を整えることで、健康を自分事として捉えられる文化を醸成しています。

ファーストリテイリングでは、代表取締役会長兼社長名で「世界一『安全で健康に働ける会社』になる」と宣言し、本部・店舗に掲示。毎月の安全衛生委員会での議論や、新人・新任管理職への定期研修など、多層的なアプローチで文化を浸透させています。

コクヨは自社のオフィス「HOWS PARK」を実証実験の場とし、社員が日々実践する中で得られた気づきを商品開発に活かす仕組みを構築。Well-beingの実践と事業活動が一体化しています。

このように成功企業では、従業員が自発的に参加できる仕組みづくり、継続的なコミュニケーションの場の設定、経営層からのメッセージ発信など、多面的なアプローチで組織文化として定着させています。

制度だけでなく「どう使われるか」「どう感じられるか」まで考え抜いているのです。

KPIの測定と透明性

ウェルビーイング経営の効果を可視化し、継続的に改善するには、適切なKPIの設定と透明性の確保が不可欠。これが第三の成功ポイントです。

丸井グループでは、ストレスチェックの組織分析結果を活用し、任意の事業所で再度チェックを実施。ほぼすべての事業所でストレス度が軽減し、ワークエンゲージメントが向上したことを数値で確認しています。「会社のWell-being活動に参加している」と答えた社員が67%にのぼるなど、活動の浸透度も測定しています。

積水ハウスは「喫煙率の低減」「従業員・職場の幸せ度向上」「生産性の向上(プレゼンティーイズムの改善)」「メンタル不調の予防」など5つの明確な目標を設定。幸せ度調査を年1回継続実施し、個人と事業所にフィードバックすることで、改善につなげています。

富士通は2024年に海外を含む全グループ社員にウェルビーイングサーベイを実施し、有効回答数88,640人のデータを収集。性別や職責、リージョンや国によって異なる傾向を分析し、各地域に適した施策の検討に活用しています。

これらの企業に共通するのは、定量的なデータを継続的に収集し、その結果を従業員にフィードバックしている点です。欠勤率、離職率、エンゲージメントスコア、健康診断の有所見率、ストレスチェック結果など、複数の指標を組み合わせて効果測定を行っています。

また、データの透明性を確保することで、従業員の信頼を獲得し、施策への参加意欲を高めることにもつながっています。富士通やファーストリテイリングのように、サステナビリティレポートで詳細なデータを公開する企業も増えてきました。

測定可能な目標を設定し、定期的に効果を検証し、結果に基づいて施策を改善するというPDCAサイクルを回すことで、ウェルビーイング経営を継続的に進化させることができるのです。

ウェルビーイング経営の始め方

ここまで様々な企業の事例と成功のポイントをご紹介してきましたが、「実際にどこから始めればよいのか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。ウェルビーイング経営は一朝一夕には実現できませんが、段階的に進めることで着実に成果を上げることができます。

ここでは、ウェルビーイング経営を始めるための5つのステップをご紹介していきます。

ステップ主な取り組み内容具体的なアクション
STEP1:現状を見える化する(課題の棚卸し)・定量指標の見える化
・定性指標の可視化
・リスニング文化の構築
・社員アンケート、健康診断データ、離職率、労働時間などの収集
・エンゲージメント調査や心理的安全性の測定
・社員の声を直接聞く場の設定
STEP2:経営方針として位置づける(ガバナンス設計)・責任体制の明確化
・推進担当の設置
・方針の発信
・取締役会やESG委員会での議題化
・CHO、人事、労務、広報などの推進担当を決定
・健康宣言やウェルビーイング宣言の策定と社内外への公表
STEP3:施策を設計する(働き方・制度・環境づくり)・柔軟な働き方の設計
・健康支援の提供
・環境の整備
・リモートワーク、副業、休暇制度などの導入
・メンタルケア、運動機会、EAP、健康アプリの提供
・オフィス改善、社内コミュニティ形成の推進
STEP4:KPIを設定・測定する(効果を定量化)・測定指標の設定
・継続的な測定
・データの共有
・欠勤率、離職率、エンゲージメント、健康リスク、ワークエンゲージメントなどの測定
・年次または半期での定期測定
・健康の結果だけでなく行動の変化も評価
STEP5:継続改善と文化定着(サイクル運用)・PDCAサイクルの確立
・カルチャー化の推進
・経営層の継続発信
・年次で「実施→測定→改善」を繰り返す
・社員が主体的に動く文化づくり
・経営層による定期的なメッセージ発信で形骸化を防止

STEP1:現状を見える化する(課題の棚卸し)

ウェルビーイング経営の第一歩は、自社の現状を正確に把握することから始まります。

まずは定量的なデータを収集しましょう。社員アンケート、健康診断の結果、離職率、労働時間、有給休暇の取得率など、すでに社内にあるデータを集めて分析します。これらの数値から、どの部署で離職が多いのか、長時間労働が発生しているのか、健康リスクが高い従業員の割合はどれくらいかなど、客観的な事実が見えてきます。

次に、数字だけでは見えない定性的な情報も可視化していきます。エンゲージメント調査を実施して従業員の仕事への熱意や満足度を測定したり、心理的安全性(自分の意見を安心して言える雰囲気があるか)を評価したりすることで、組織の雰囲気や人間関係の状態を把握できます。

そして最も重要なのが、社員の声を直接聞く「リスニング文化」をつくること。

アンケートだけでなく、1on1ミーティングや座談会、匿名の意見箱など、様々なチャネルで従業員が本音を話せる環境を整えましょう。経営層が現場の声に耳を傾ける姿勢を示すことで、信頼関係が生まれ、より正確な課題把握につながります。

STEP2:経営方針として位置づける(ガバナンス設計)

現状把握ができたら、ウェルビーイング経営を会社の正式な方針として位置づけます。

まず、取締役会やESG委員会など、経営層レベルでウェルビーイングを議題として取り上げ、責任体制を明確にしましょう。誰が最終的な責任を持つのか、予算はどれくらい確保するのか、どのような体制で推進するのかを決定します。

次に、実際に推進を担当する部門や担当者を定めます。CHO(最高健康責任者)を設置する企業もあれば、人事部や労務部が中心となる場合もあります。広報部門も巻き込むことで、社内外への発信がスムーズになります。

重要なのは、経営層と現場をつなぐ橋渡し役として機能できる体制をつくることです。

そして、「健康宣言」や「ウェルビーイング宣言」として、会社の姿勢を明文化し、社内外に発信します。代表者名で発信することで、経営層のコミットメントが明確になり、従業員の理解と協力を得やすくなります。ホームページやサステナビリティレポートでの公表も効果的です。

STEP3:施策を設計する(働き方・制度・環境づくり)

方針が固まったら、具体的な施策を設計していきます。大きく3つの領域に分けて考えるとわかりやすいでしょう。

働き方の柔軟性を高める施策では、リモートワークやフレックスタイム制、副業の容認、多様な休暇制度などを導入します。従業員のライフスタイルや価値観は一人ひとり異なるため、画一的な働き方ではなく、選択肢を増やすことが重要になります。

健康支援の施策としては、メンタルヘルスケアの充実、社内外の相談窓口(EAP)の設置、運動機会の提供、健康アプリの導入などが挙げられます。健康診断後のフォローアップや、禁煙支援プログラム、栄養セミナーなど、予防医療の観点からのサポートも効果的です。

環境整備の施策では、オフィスのレイアウト改善、リフレッシュスペースの設置、社内コミュニティ形成の支援などを行います。物理的な環境だけでなく、部門を超えた交流の場をつくることで、心理的な居心地の良さも向上していきます。

自社の課題や従業員のニーズに合わせて、優先順位をつけながら段階的に施策を展開していくことが大切です。

STEP4:KPIを設定・測定する(効果を定量化)

施策を実施したら、その効果を測定するためのKPIを設定します。

具体的な指標としては、欠勤率、離職率、エンゲージメントスコア、健康リスク(健康診断の有所見率など)、ワークエンゲージメント(仕事への活力・熱意・没頭)などが挙げられます。これらを年次または半期で継続的に測定し、データを社内外に共有していきます。

ここで重要なのは、「健康の結果」だけでなく「行動の変化」も評価対象にすること。例えば、メタボ率の低下という結果だけでなく、健康セミナーへの参加率や、運動習慣のある従業員の割合など、従業員の行動変容も測定します。結果は短期間では現れなくても、行動が変わっていれば施策は機能していると判断できます。

データは単に収集するだけでなく、経営層や従業員と共有することで透明性を確保しましょう。改善が見られた点も、まだ課題が残る点も正直に伝えることで、組織全体で取り組む意識が高まります。

STEP5:継続改善と文化定着(サイクル運用)

ウェルビーイング経営は「やって終わり」ではなく、継続的に改善していくことが重要になります。

年次でPDCAサイクルを設定し、毎年「実施→測定→改善」を繰り返しましょう。前年度の結果を振り返り、うまくいった施策は継続し、効果が薄かった施策は見直すという改善プロセスを組織に組み込みます。

そして最終的には、施策を通じて社員が主体的に動く「カルチャー化(文化化)」を目指します。会社から言われてやるのではなく、従業員自身が健康や働きがいを大切にし、互いに支え合う文化が根付くことが理想的です。丸井グループやサイボウズの事例のように、社員が自発的に参加する仕組みをつくることが文化定着の鍵となります。

また、経営層が定期的にメッセージを発信し続けることで、取り組みの「形骸化」を防ぎます。年に一度の経営方針説明会や、社内報でのメッセージ、タウンホールミーティングなど、様々な機会を通じて、ウェルビーイング経営への変わらぬコミットメントを示すことが大切です。

これら5つのステップを着実に進めることで、自社に合ったウェルビーイング経営を実現できます。

まずは小さく始めて、成功事例を積み重ねながら、段階的に取り組みを拡大していくことをおすすめします。

ウェルビーイング経営を始めるなら「GiveFit」の導入から

ウェルビーイング経営の重要性は理解できても、「何から始めればよいかわからない」「コストや手間がかかりそう」と感じる企業も多いのではないでしょうか。

そんな企業におすすめしたいのが、健康管理アプリ「Givefit」です。ウェルビーイング経営の第一歩として、従業員の健康状態を手軽に把握し、継続的な健康管理をサポートできます。

毎日の健康を簡単に記録できる

Givefitの最大の特徴は、従業員が日々の健康状態を簡単に記録できること。体重や歩数、睡眠時間など、基本的な健康データをスマートフォンから手軽に入力できるため、従業員にとって負担が少なく継続しやすい仕組みになっています。

ウェルビーイング経営のSTEP1「現状の見える化」では、従業員の健康データを継続的に収集することが重要でした。Givefitを活用すれば、健康診断だけでは把握できない日々の健康状態の変化を、リアルタイムで可視化できます。

手軽に始められるから導入のハードルが低い

大規模なシステム導入や複雑な運用は、中小企業にとって大きな負担となりがち。Givefitは導入が簡単で、専門的な知識がなくても運用を開始できます。

事例でご紹介した大企業のように、産業医や保健師を配置したり、専門部署を立ち上げたりするのは難しいという企業でも、Givefitなら人事担当者だけで健康管理施策をスタートできます。まずは小さく始めて、従業員の反応を見ながら段階的に取り組みを拡大していくことが可能です。

リーズナブルだから継続しやすい

ウェルビーイング経営は長期的な取り組みであり、持続可能なコストで運用できることが重要。Givefitはリーズナブルな価格設定で、企業規模を問わず導入しやすい料金体系となっています。

健康経営への投資は効果が見えるまでに時間がかかるため、予算確保に苦労する企業も少なくありません。コストを抑えながら従業員の健康管理を実現できるGivefitなら、経営層への説明もしやすく、継続的な取り組みとして定着させやすくなります。

従業員の健康管理が業務改善につながる

Givefitで従業員の健康状態を把握することで、欠勤率の低下や生産性の向上といった業務改善効果も期待できます。

ウェルビーイング経営のSTEP4「KPIの設定・測定」で触れたように、健康管理の効果を定量的に測定することは重要です。Givefitで収集したデータを分析することで、健康施策の効果を可視化し、経営層や従業員に報告することができます。

また、健康リスクの高い従業員を早期に発見し、適切なサポートにつなげることで、長期的な休職や離職を防ぐことにもつながります。DeNAやサイボウズの事例でも見られたように、健康アプリの活用は従業員のセルフケアを促進し、組織全体の健康意識を高める効果があります。

まずは健康の見える化から始めよう

本記事でご紹介した10社の事例を見ても、すべての企業が最初から完璧な体制を整えていたわけではありません。多くの企業が、まずは従業員の健康状態を把握するところからスタートし、段階的に取り組みを拡大してきました。

Givefitは、ウェルビーイング経営の入り口として最適なツール。従業員の健康を見える化し、データに基づいた施策を展開することで、着実に成果を積み重ねていくことができます。

「ウェルビーイング経営を始めたいけれど、何から手をつければよいかわからない」という企業は、まずGivefitの導入を検討してみてはいかがでしょうか。手軽に始められる健康管理から、従業員の幸福と企業の成長を両立させる第一歩を踏み出しましょう。

村上克利
代表取締役
13年間にわたりパーソナルジム「POLUM」を経営し、幅広い世代・職業層の健康改善をサポート。
身体づくりに合わせ、メンタル面や生活習慣の改善にも注力し、多くの顧客から「続けられる健康習慣」を引き出す指導を行う。

その豊富な現場経験を企業向けの健康経営に応用し、従業員の健康増進と組織の活性化を目的とした健康管理アプリ「Givefit」を開発。

「Givefit」では、個人の健康データをもとにした最適なアドバイスや行動プランを提供。
健康習慣の定着を支援し、企業全体の生産性向上や離職防止に貢献。
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