体調不良の従業員に対して企業が取るべき対応を解説!手当の申請方法も合わせて紹介

従業員が体調不良を訴えたとき、企業としてどのように対応すべきかをご存知ですか。

体調が悪い従業員を放置してしまうと、症状が悪化したり、最悪の場合は重大な事故につながってしまう可能性もあります。一方で、対応を誤れば、不当な扱いと判断されるなど、企業側がトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。

本記事では、体調不良の従業員に対して企業が適切に対応するための具体的な手順と、従業員が活用できる手当や支援制度について詳しく解説します。

日々の健康管理を手軽に行える「Givefit」のようなアプリを活用すれば、従業員の体調変化を早期に把握でき、問題が深刻化する前に対応できます。リーズナブルに従業員の健康状態を可視化することで、企業全体の業務改善にもつながり、職場全体の生産性向上が期待できます。


目次

従業員の体調不良で企業が取るべき対応

従業員から体調不良の報告があった場合、企業は責任を持った対応をする必要があります。以下のような段階的な対応が重要です。

  • 上司と人事部門への報告
  • 本人からの詳細な聞き取り
  • 勤務中の体調不良への応急対応と帰宅判断
  • 欠勤や遅刻、早退の扱いの統一
  • 本人への配慮と無理強いの回避

上司と人事部門へ報告を行う

体調不良の報告を受けたら、まずはその従業員の直属上司と人事部門に速やかに連絡することが大切です。

この報告を通じて、企業全体で従業員の状態を把握し、適切な対応方針を決定できます。個別対応に留めるのではなく、社内で情報共有することで、統一された対応が可能になり、後々のトラブルを防ぐことにもつながります。

本人から可能な範囲で聞き取りを行う

体調不良の詳細を理解することで、必要な対応が見えてきます。

以下のような内容を、本人と落ち着いて話し合いながら確認しましょう。

具体的には、現在の症状がどのようなものか、いつ頃から症状が出ているか、医師の診察を予定しているかどうかなどを把握します。頭痛なのか、吐き気なのか、倦怠感なのか、症状の種類によって対応も変わってきます。また、症状が出始めた時刻を知ることで、仕事の内容や環境との関連性がないかを判断する参考になります。

勤務中の場合は応急対応と帰宅判断を迅速に行う

勤務時間中に体調不良が生じた場合は、その従業員が安全に過ごせるよう、すぐに対応することが必要です。

まずは静かな環境で休ませたり、必要に応じて水分補給を勧めるなど、簡単な応急手当を施します。その上で、自分で帰宅できるかどうかを本人と相談し、難しいようであれば迎えに行くなどの配慮が求められます。無理に仕事を続けさせたり、本人の意思を無視して帰宅させるといった判断は避けるべきです。

欠勤・遅刻・早退の扱いを統一する

体調不良による欠勤や遅刻、早退については、企業内でのルールを明確にしておくことが大切です。

例えば、医師の診察が必要な場合に診断書の提出を求めるかどうか、欠勤が連続する場合の対応はどうするかなど、あらかじめ就業規則に定めておくと、トラブルが生じたときにも対応しやすくなります。従業員側も、ルールが明確に示されていれば、どうすればよいか分かり、安心できます。

出勤の無理強いや症状の詮索はしない

最も重要なポイントが、従業員に無理をさせないことです。

症状が完全に回復していないのに、出勤を促したり、仕事量を変わらず与えたりするのは控えるべきです。また、プライバシーに関わる詮索も避けましょう。具体的な診断名や治療内容について、本人が話したくないことを無理に聞き出すことは、従業員の信頼を損なわせます。必要な情報に限定して、丁寧に対応することが職場環境の改善にもつながるのです。


体調不良で欠勤が続く従業員への対応方法

体調不良による欠勤が1日や2日で解決するとは限りません。欠勤が数日以上続く場合は、より注意深い対応が必要になります。

以下のような段階を踏んで、従業員と企業の双方にとって最適な対応を進めることが重要です。

  • 従業員の状況を正確に把握し出勤見込みを確認
  • 長期化している場合は医師の診断書や産業医の意見を求める
  • 回復の見込みに応じて「休職」「配置転換」「勤務調整」などを検討
  • 必ず記録と手順を残す

従業員の状況を正確に把握し出勤見込みを確認

欠勤が続いている場合、企業側は定期的に本人に連絡を取り、現在の体調がどうなっているのか、いつ頃から出勤できそうかを確認する必要があります。

この際、本人のプライバシーに配慮しつつ、正確な情報を得ることが大切です。

聞き取りの際には、症状に改善の兆しが見られているか、医師の診察は受けているか、処方されている薬があるかなど、具体的な状況を丁寧に確認しましょう。従業員への配慮をしたうえで回復状況も確認することで、企業としての対応方針を判断できます。

ここで重要なのは、相手を責めるのではなく、本人の回復を支援する姿勢を示すことです。こうした配慮が、後の職場復帰をスムーズにしていきます。

長期化している場合は医師の診断書や産業医の意見を求める

欠勤が連続して複数日に及ぶ場合は、医学的な判断が必要になります。

従業員に医師の診察を受けるよう勧め、診断書の提出を求めることは企業の権利です。診断書には、診断名、治療の見通し、就業が可能かどうかなどが記載されており、これによって企業は今後の対応をより適切に判断できます。

さらに、企業に産業医がいる場合は、その医師の意見も参考にするとよいでしょう。産業医は労働環境と従業員の健康状態の両面を理解しているため、職場復帰に向けた具体的なアドバイスが期待できます。メンタルヘルスの不調が疑われる場合には、こうした医学的なアプローチが特に重要になってきます

本人が医師の診察を拒否した場合でも、企業としてはその旨を就業規則に基づいて指示することが可能であり、従わない場合の対応についても就業規則に定めておくことをお勧めします。

回復の見込みに応じて「休職」「配置転換」「勤務調整」などを検討する

医師の診断書や本人からの聞き取りを通じて、症状の重さと回復の見通しが見えてきます。この時点で、企業として以下のような対応を検討する段階に進みます。

症状が重く、今後数週間から数か月の療養が必要と判断される場合は、休職を命じることが考えられます。休職中に従業員は療養に専念でき、企業側も業務体制を調整する時間を確保できます。一方、症状は軽めだが、完全な復帰には時間が必要な場合は、勤務時間を短縮したり、業務量を減らすといった勤務調整を検討します。さらに、従来の業務が身体的に負担になっている場合は、別の部門への配置転換も視野に入れるとよいでしょう。

これらの対応は、従業員が無理なく職場に戻るための過程であり、長期的には生産性の向上にもつながります。

必ず記録と手順を残す

体調不良の従業員に対する対応では、すべてのやり取りを記録に残すことが非常に重要です。

いつ本人に連絡を取ったか、どのような内容を話し合ったか、医師の診断書をいつ受け取ったか、など、対応の過程を時系列で記録しておくべきです。

この記録は、後日トラブルが生じた場合に、企業側が適切な対応をしていたことを示す証拠となります。また、対応の手順が明確に文書化されていれば、複数の従業員で対応を引き継ぐ際も、統一された判断ができます。就業規則に体調不良時の対応フローを定めておき、その手順に従いながら記録を残すことで、企業としての信頼性が高まり、従業員にとっても安心感につながるのです。


労災・健保・傷病手当金の正しい申請方法

従業員が体調不良で仕事を休まなければならない場合、どのような手当や保障が受けられるのかを知ることは大切です。体調不良の原因が仕事に起因するのか、それとも私的な事情なのかによって、利用する制度が異なります。また、それぞれの申請手続きや条件も異なるため、正しい理解が必要です。

以下では、主要な3つの制度について解説します。

  • 業務上の災害は労災保険で補償
  • 業務外の病気やけがは健保と傷病手当金を利用
  • 各制度の申請条件と流れを正しく理解する

業務上は労災、私傷病は健保を利用

従業員の体調不良が、仕事をしている中で生じたものか、それとも仕事とは関係なく生じたものかによって、適用される制度が分かれます。

業務上の事由による病気やけがの場合は、労災保険(労働者災害補償保険)が適用されます。これは企業が加入義務を持つ制度で、従業員が仕事中に事故に遭ったり、仕事のストレスが原因で病気になったりした場合に、医療費や休業補償が支給される仕組みです。一方、風邪やインフルエンザ、私的な事情で起きた病気やけがの場合は、健康保険(健保)が適用されます。さらに、健保に加入していれば、傷病手当金という制度を活用できることもあります。

この傷病手当金は、病気やけがで働けなくなった従業員の生活を支援するための給付です。

-労災の認定条件と必要な書類

労災保険の給付を受けるためには、その病気やけがが本当に業務に起因するものであることを証明する必要があります。認定されるかどうかの判断は、労働基準監督署によって行われます。

項目内容
認定条件業務上の事由により発生した病気やけが。例えば、仕事中の事故、業務による過労、職場環境による健康被害など
必要な書類・労災保険給付請求書(様式8号など)<br>・医師の診断書<br>・事故報告書(事故の場合)<br>・給与明細や勤務記録<br>・企業の証人による陳述書(必要に応じて)
提出先企業の本社所在地または事業所を管轄する労働基準監督署
申請期限基本的に2年以内。ただし、症状が遅れて出る場合は、症状の発症日から起算

具体的な例としては、営業職が仕事中に転倒して骨折した場合、長時間労働による過労が原因で心身の不調が生じた場合などが該当します。

一方、仕事とは無関係な疾病(例:趣味の最中に起きたけが)は労災にはあたりません。認定を受けるには、医学的な根拠と業務との因果関係を明確に示す書類が重要です。

業務外の病気・けがは「傷病手当金」で補償される

仕事とは関係のない病気やけがで欠勤する場合、健保に加入していれば傷病手当金という制度が利用できます。

この制度は、病気やけがで働けなくなった従業員の生活を支援し、安心して療養に専念できるようにするためのものです。

傷病手当金の最大の特徴は、給与の3分の2相当額が支給されるという点です。つまり、完全に給与が出ていなくても、生活に必要な一定額が補償されるため、療養期間中の経済的な不安が軽減されます。ただし、条件を満たさない場合は支給されないため、事前に要件を確認することが大切です。

傷病手当金の申請条件と流れ

傷病手当金を受け取るには、いくつかの条件を満たす必要があります。また、申請から支給まで一定の時間がかかるため、流れを事前に理解しておくと安心です。

申請条件詳細
条件1:健保加入健保に加入していることが前提。国保の加入者は対象外
条件2:働けない状態医師の診断で、その病気やけがのために働くことができないと判断されていること
条件3:賃金をもらっていない欠勤中に企業から賃金が支払われていないこと。休暇を使って有給で休んでいる場合は対象外
条件4:3日以上の欠勤待機期間を含めて3日以上連続して働けないこと。待機期間とは、最初の3日間を指します

申請の流れは以下です。

  1. 医師の診断書を取得する:病院で「傷病手当金用」の診断書をもらいます。このとき、働けない状態であることを医学的に証明してもらう必要があります。
  2. 申請書類を準備する:健保から傷病手当金の申請書(様式はご加入の健保によって異なります)を取得します。この書類には、従業員と企業の双方が記入する欄があります。
  3. 企業に記入してもらう:申請書の企業欄に、給与支払い状況などを記入してもらい、企業のはんこをもらいます。ここで重要なのは、給与が支払われていないことを証明することです。
  4. 健保に提出する:必要な書類を揃えて、加入している健保に提出します。提出方法は郵送やオンラインなど、健保によって異なります。
  5. 支給決定と受け取り:健保が書類を審査し、条件を満たしていれば、指定された口座に振り込まれます。申請から支給まで通常は数週間かかります。

傷病手当金は、待機期間(最初の3日間)を除いて、最長1年6ヶ月間支給されます。支給額は「1日あたりの給与の3分の2」が目安となります。例えば、月給30万円の方の場合、1日の給与を約1万円として計算すると、1日あたり約6,600円が支給される計算になります。

申請期限は、その給付を受けるべき日から2年以内です。期限を超えると申請できなくなるため、早めの対応が大切です。


復職支援と職場復帰のためのフロー

体調不良から回復に向かった従業員を、いかに職場へ戻すかは企業にとって重要な課題です。急いで復帰させると再発のリスクが高まり、慎重になりすぎると従業員の不安が増します。

医学的な判断と従業員の気持ちの両面を大切にしながら、段階的に進めることが成功のカギとなります。

  • 医師の診断書と産業医の意見をもとに復職可否を判断
  • 復職前面談を実施し、業務内容・勤務時間・配慮事項をすり合わせ
  • 復帰初期はリハビリ出勤を導入する
  • 復帰後も定期的な面談を行い、体調確認と再発防止に努める

医師の診断書と産業医の意見をもとに復職可否を判断

従業員から復職の希望が出たら、まずは医学的な判断を基礎に据えることが不可欠です。

担当医師から取得した診断書には、現在の健康状態、業務遂行能力の有無、配慮が必要な事項などが記載されています。この情報をもとに、本当に仕事に戻っても大丈夫かを慎重に検討する必要があります。

企業に産業医がいる場合は、産業医にも意見を求めましょう。産業医は、診断書だけでは分からない職場環境との相性や、実際の業務がどの程度の負担になるかを判断する専門知識を持っています。医師の診断と産業医の意見の両方を揃えることで、より信頼性の高い判断が可能になります。

もし医師の診断書に「軽い業務のみ可能」という記載があれば、その制限を職場で実現できるかどうかを確認することも重要です。

復職前面談を実施する

復職可能と判断された後は、従業員と企業の間で面談を実施します。この面談では、復帰後の業務内容、勤務時間、配慮事項などについて、十分にすり合わせを行うことが大切です。

面談のポイントとしては、以下の点を確認することです。第一に、業務内容についてです。復帰直後は、従来の職務をすべて担当するのではなく、負担を軽くした業務から始めるかどうかを決めます。第二に、勤務時間についてです。体調が完全に回復していない場合は、時短勤務から始めるなどの検討が必要です。第三に、配慮事項についてです。例えば、通勤ラッシュを避けるための時間帯調整や、定期的に休息を取る時間の確保なども含まれます。

このプロセスを通じて、従業員は「企業が自分の健康を真摯に考えてくれている」と感じることができ、心理的な安心感につながります。また、企業側も従業員の現在の状態を正確に把握でき、現実的で無理のない復職プランを立てられるのです。

復帰初期はリハビリ出勤を導入する

いきなりフルの勤務に戻すのではなく、「リハビリ出勤」という段階的な復帰方法が有効です。リハビリ出勤とは、短い時間や限定された業務から始めて、徐々に通常の勤務に戻していく方法を指します。

例えば、最初は1日3時間程度の短時間勤務で、事務作業など負担の少ない業務のみを行うというように進めます。1週間単位で状況を評価し、体調に問題がなければ4時間、5時間と時間を延ばしていく、このような形です。同時に、担当業務の種類や量も少しずつ増やしていくことで、心身への負荷を最小限に抑えながら通常業務への適応を進められます。

リハビリ出勤中の従業員の給与やボーナス計算については、企業の就業規則で事前に定めておくことが重要です。休職中との扱いが違うことや、この期間を本給の対象にするかどうかなど、ルールを明確にしておくことで、後々のトラブルを防げます。

復帰後も定期的な面談を行う

職場復帰が実現した後も、対応が終わるわけではありません。むしろここからが重要です。定期的に従業員と面談を行い、現在の体調や業務状況を確認することが、再発防止の鍵となります。

面談では、業務量が適切か、ストレスの度合いはどうか、通勤に無理がないかといった点を丁寧に聞き取ります。同時に、体調確認を行い、再び不調の兆候が出ていないかを見守ることが大切です。例えば、3ヶ月ごと、6ヶ月ごとといった定期的なスケジュールで面談を実施し、記録に残しておくとよいでしょう。これにより、万が一の際の対応もスムーズになります。

また、復帰後の早期段階では、産業医や専門家によるフォローアップも検討する価値があります。メンタルヘルスの不調が原因の場合は、特にこうした継続的な支援が有効です。企業が継続的に従業員の状態に目を配ることで、従業員にとって「自分の健康を企業が真摯にサポートしてくれている」という信頼感が生まれ、長期的な職場環境の改善にもつながるのです。


体調不良時の対応を明文化する就業規則設計のポイント

これまで、体調不良の従業員に対する企業の対応方法について説明してきました。しかし、対応の質を高め、すべての従業員に対して公平に接するためには、対応のルールを企業内で明確に定めておくことが必要不可欠です。

就業規則にこれらの対応を明文化することで、判断のばらつきが生じず、トラブルのない職場環境が実現できます。

  • 体調不良時の欠勤・早退・遅刻の扱いを明文化する
  • 病気による欠勤が一定期間続いた場合の「休職規定」を設ける
  • 診断書の提出を求める条件とタイミングを明確にする
  • 復職時の手続きを明文化する

体調不良時の欠勤・早退・遅刻の扱いを明文化する

体調不良で勤務できなくなった場合、欠勤や遅刻、早退といった扱いについて、企業内でのルールが決まっていないと、対応する人によって判断が異なってしまいます。これは従業員の不信感につながり、トラブルの種になりかねません。

就業規則では、以下のような点を明記することが大切です。第一に、体調不良による欠勤の場合、本人からの連絡は誰にどのような方法で行うべきか。第二に、欠勤と診断できるまでの時間の目安はどうするか(例えば、当日午前10時までの連絡で欠勤扱いとするなど)。第三に、欠勤日の給与をどのように計算するか(いわゆる欠勤控除の有無)という点です。

このように判断のばらつきを防ぐことで、従業員も「こういった場合はこうすればよい」と明確に理解でき、遵守しやすくなります。結果として、職場全体の秩序が保たれ、余計なトラブルが減るのです。

病気による欠勤が一定期間続いた場合の「休職規定」を設ける

数日の欠勤で済む場合もあれば、1ヶ月以上の療養が必要になる場合もあります。長期間の療養が必要な場合に備えて、「休職」という制度を就業規則に定めておくことが重要です。

休職規定では、以下のような内容を明記します。第一に、休職命令を下す条件です。例えば「連続した欠勤が2週間以上に及んだ場合」「医師の診断書で1ヶ月以上の療養が必要と判断された場合」といったような基準を設けます。第二に、休職期間の長さです。例えば「最長6ヶ月間」というように上限を定めておくと、その後の対応方針も立てやすくなります。第三に、休職中の待遇についてです。給与を支払うのか、それとも支払わないのか、福利厚生はどうなるのかといった点を明確にしておくべきです。

休職制度を明確に定めることで、長期療養が必要な従業員も安心して療養に集中できますし、企業側も「この段階では次のステップに進める」という判断が容易になります。

診断書の提出を求める条件とタイミングを明確にする

企業が従業員に医師の診断書を求めることは、労働安全衛生法などの法律でも認められています。しかし、いつどんな場合に診断書を求めるのかが不明確だと、従業員が戸惑ったり、不信感を持ったりすることがあります。

就業規則では、診断書の提出を求める条件とタイミングを明記することが大切です。例えば、「連続した欠勤が3日以上に及ぶ場合は診断書の提出を求める」「復職を希望する際には、復職可能であることを医師が判断した診断書の提出を必須とする」といったルールを定めるとよいでしょう。

同時に、診断書の書式についても触れておくと親切です。企業側で「このような書式で診断書を取得してください」というテンプレートを用意しておけば、医師の診察の際も含めて、手続きがスムーズに進みます。また、診断書の提出にかかる費用は通常本人負担ですが、就業規則に「企業が負担する場合もある」と定めておくと、従業員への配慮が示せます。

復職時の手続きを明文化する

療養を終えて職場に戻るときも、適切な手続きが必要です。復職時の手続きを明確に定めておくことで、本人も企業も安心して次のステップに進めます。

就業規則では、以下のような復職プロセスを明記します。

第一に、復職の申し出についてです。本人からいつ、どこに申し出るのかを明確にしましょう。

第二に、医師・産業医の意見を聴取する仕組みについてです。復職可能かどうかを判断する際には、医師の意見だけでなく、可能であれば産業医の意見も聴取することが望ましいと就業規則に定めておくとよいでしょう。

第三に、復職前面談の実施についてです。上司や人事担当者が、復帰後の業務内容や勤務時間について本人と十分に話し合うプロセスを組み込んでおきます。

復職手続きの流れ(例)詳細
1. 復職申告従業員が復職を希望する場合、人事部門に書面で申し出る。その際、医師の診断書を提出する
2. 医師・産業医の意見聴取診断書をもとに、企業の産業医(いる場合)に復職可能性について意見を求める。必要に応じて医師と企業が書面でやり取りする
3. 復職可否の判断医師の診断書と産業医の意見をもとに、人事部門・上司が復職を認めるかどうか決定。認めない場合、その理由を本人に説明
4. 復職前面談復職が決定したら、上司と本人が面談を実施。業務内容、勤務時間、配慮事項などを確認し、復職プランをすり合わせ
5. リハビリ出勤の開始必要に応じて、段階的な復帰を実施。短時間勤務や限定業務から始める
6. 定期的なフォローアップ復帰後、定期的に本人と面談を行い、体調や業務適応の状況を確認

このように、復職手続きを詳細に定めておくことで、あいまいな判断が避けられ、企業と従業員の双方が安心できる環境が整います。


従業員の体調管理を手軽に始めるなら「Givefit」

企業として適切に対応することは、従業員の健康と安全を守るだけでなく、長期的には職場全体の生産性向上にもつながるものです。しかし、個別対応では限界があります。重要なのは、体調不良が起きてから対応するのではなく、その前段階で従業員の健康状態を把握し、早期に対応できる体制を整えることです。

そこで活躍するのが、健康管理アプリサービスの「Givefit」です。本記事で説明したような企業の対応をより効果的にするために、Givefitはどのようなサポートを提供しているのかを紹介します。

Givefitの最大の特徴は、従業員が毎日の健康状態を簡単に記録できるという点です。体調不良の兆候をいち早く発見するためには、日々の変化を捉えることが欠かせません。Givefitを利用することで、従業員は朝の体温、睡眠時間、ストレスレベルといった基本的な健康情報を、手軽にアプリに入力できます。

これにより、企業側は従業員の健康状態を可視化でき、深刻な症状が出る前に対応する機会を得られるのです。例えば、ある従業員の睡眠が急に減り始めたり、ストレスレベルが高まったりしているのを察知できれば、上司が早期に声をかけることもでき、メンタルヘルスの悪化を予防できます。このように予防的なアプローチを取ることで、長期欠勤に至るケースを減らせるのです。

本記事で説明した就業規則の設計や、体調不良時の対応フロー、復職手続きといったものは、すべて企業の努力と工夫によって実現されるものです。同時に、それらがうまく機能するためには、従業員側の協力も不可欠です。Givefitは、そうした企業の施策に従業員がスムーズに協力できるよう、ユーザーフレンドリーな設計になっています。

アプリは直感的に操作できるため、デジタルスキルに自信がない従業員でも使いやすく、導入時の教育コストも最小限で済みます。手軽に始められるからこそ、組織全体で健康管理に取り組む文化を育てやすいのです。

Givefitで従業員の健康データが蓄積されることで、企業全体の健康課題が見える化されます。例えば、特定の部門でストレスが高い傾向が見られたり、季節ごとに体調不良が増えるパターンが分かったりすることもあります。こうした情報をもとに、企業は勤務環境の改善や業務プロセスの見直しなど、より根本的な対策を検討できるようになります。

結果として、従業員の健康が向上し、欠勤が減り、離職率も低下するというメリットが期待できます。これは、本記事で紹介した「定期的な面談による体調確認」や「記録を残す」といった対応をさらに効率化・強化するものなのです。

企業の体調不良への対応体制を整えることと、Givefitのような健康管理ツールを組み合わせることで、初めて真の意味で従業員の健康をサポートする体制が完成します。あなたの企業でも、今日からGivefitを活用して、従業員の健康を守り、職場全体の活性化を目指してみてはいかがでしょうか。

村上克利
代表取締役
13年間にわたりパーソナルジム「POLUM」を経営し、幅広い世代・職業層の健康改善をサポート。
身体づくりに合わせ、メンタル面や生活習慣の改善にも注力し、多くの顧客から「続けられる健康習慣」を引き出す指導を行う。

その豊富な現場経験を企業向けの健康経営に応用し、従業員の健康増進と組織の活性化を目的とした健康管理アプリ「Givefit」を開発。

「Givefit」では、個人の健康データをもとにした最適なアドバイスや行動プランを提供。
健康習慣の定着を支援し、企業全体の生産性向上や離職防止に貢献。
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