期間従業員も健康診断が必要?押さえるべき点や落とされるケースを解説

工場や製造業で働く期間従業員(期間工)として働く際、「健康診断は受けなければいけないの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

短期間の雇用だから必要ないと考えがちですが、実は法律で定められた条件があります。この記事では、期間従業員の健康診断について、企業が押さえるべきポイントや、健康診断で不合格となるケースについて詳しく解説していきます。

従業員の健康管理は企業の重要な責務です。Givefitなら、リーズナブルに従業員の健康管理が行えるアプリで、毎日の健康を簡単に記録できます。手軽に始められる健康管理で、業務改善にもつながる仕組みを構築しませんか。

目次

期間従業員も健康診断は必要?

期間従業員に健康診断が必要かどうかについて、以下の3つのポイントから見ていきましょう。

  • 期間従業員も健康診断を受ける必要があるか
  • 期間従業員が常時雇用とみなされるケース
  • 期間従業員の入社時健診・定期健診・特殊健診の違い

期間従業員も健康診断は受ける必要がある

結論から言えば、期間従業員も一定の条件を満たせば健康診断の対象となります。労働安全衛生法では、雇用形態に関わらず、一定の要件を満たす労働者に対して健康診断を実施することが事業者に義務付けられているためです。

「期間従業員だから健康診断は不要」という認識は誤り。正社員かどうかではなく、働き方の実態によって判断されます。具体的には、労働時間や契約期間の長さが重要な基準です。

企業側は、期間従業員を雇用する際にこの点をしっかり理解しておく必要があります。

健康診断を実施しなかった場合、法律違反となり罰則の対象になる可能性もあるため注意が必要です。

期間従業員が常時雇用とみなされるケース

期間従業員が健康診断の対象となるのは、「常時使用する労働者」に該当する場合。では、どのような条件で常時雇用とみなされるのでしょうか。

厚生労働省の通達によれば、以下の2つの条件をいずれも満たす場合に常時使用する労働者として扱われます。

1. 契約期間が1年以上、または契約更新により1年以上雇用される見込みがある

契約書上の期間が1年未満でも、更新の可能性がある場合は対象となります。実際に更新されるかどうかではなく、更新される「見込み」があるかどうかが判断基準です。

2. 1週間の労働時間が正社員の4分の3以上である

例えば正社員の所定労働時間が週40時間の場合、週30時間以上働く期間従業員は対象。パートタイムであっても、この基準を満たせば健康診断が必要となります。

これらの条件は、雇用開始時点で判断されます。企業は採用時に契約内容をよく確認し、健康診断の要否を適切に判断することが求められるでしょう。

参考:厚生労働省「常時雇用する従業員とは?」

期間従業員の入社時健診・定期健診・特殊健診の違い

期間従業員が受ける健康診断には、主に3つの種類があります。それぞれの目的や実施時期が異なるため、違いを理解しておきましょう。

雇入れ時健診(入社時健診)

雇入れ時健診は、従業員を新たに雇用する際に実施する健康診断のこと。入社前または入社直後に実施され、業務に就く前の健康状態を把握するのが目的です。ただし、入社前3ヶ月以内に受けた健康診断の結果を提出できれば、改めて実施する必要はありません。

定期健診

定期健診は、1年以内ごとに1回実施する健康診断です。継続して働く従業員の健康状態を定期的にチェックし、疾病の早期発見や健康維持を図ります。期間従業員であっても、前述の「常時使用する労働者」の条件を満たしていれば実施が必要となります。

特殊健診

特殊健診は、有害物質を扱う業務や特定の業務に従事する労働者に対して実施される健康診断。化学物質、粉じん、放射線などを扱う作業、深夜業など、健康への影響が懸念される業務が対象です。業務内容に応じて6ヶ月に1回など、定期健診よりも高い頻度で実施されるケースもあります。

これら3つの健康診断は、それぞれ異なる法的根拠と目的を持っています。企業は従業員の雇用形態や業務内容に応じて、適切な健康診断を実施する義務があることを覚えておきましょう。

期間従業員が受ける健康診断の内容

期間従業員が受ける健康診断では、どのような項目が検査されるのでしょうか。労働安全衛生法に基づく法定健診では、検査項目が明確に定められています。

以下の表は、期間従業員が受けるべき主な法定健診項目をまとめたものです。

検査項目内容
既往歴・業務歴の調査過去の病歴や現在までの職歴を確認
自覚症状・他覚症状の有無本人が感じている症状や医師が確認できる症状の調査
身長・体重・BMI・腹囲肥満度や内臓脂肪の蓄積状況を把握
視力・聴力検査業務に支障がないか視覚・聴覚機能を確認
胸部X線検査肺や心臓の状態を画像で確認し、結核や肺がんなどを発見
血圧測定高血圧や低血圧など循環器系の状態をチェック
貧血検査赤血球数、血色素量などを測定
肝機能検査GOT、GPT、γ-GTPなどの数値から肝臓の状態を確認
血中脂質検査中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロールを測定
血糖検査空腹時血糖またはHbA1cで糖尿病のリスクを確認
尿検査尿中の糖や蛋白を調べ、腎臓や代謝の異常を発見
心電図検査心臓の電気的活動を記録し、不整脈や虚血性心疾患を確認

これらの項目は、雇入れ時健診と定期健診の基本項目となっています。ただし、年齢や前年の検査結果によっては、一部の項目を省略できる場合もあります。

例えば、35歳未満と36歳以上40歳未満の従業員については、医師が必要でないと判断した場合、貧血検査や肝機能検査などの一部項目を省略できるケースも。とはいえ、企業が従業員の健康管理をより手厚く行うために、省略可能な項目も含めて全項目を実施することが推奨されます。

特殊健診の場合は、これらの基本項目に加えて、従事する業務内容に応じた特別な検査項目が追加されます。例えば、有機溶剤を扱う業務なら尿中の代謝物検査、騒音作業なら詳細な聴力検査といった具合です。

企業は、期間従業員の雇用時や定期的に、これらの法定項目を満たす健康診断を確実に実施する必要があります

費用は企業が負担し、勤務時間内に受診させることが原則。従業員の健康を守ることは、結果的に生産性の向上や労働災害の防止にもつながるでしょう。

期間従業員は健康診断の内容で落ちる?

「健康診断の結果が悪いと、期間従業員として採用されないのでは?」と心配する方もいるかもしれません。しかし、健康診断は合否を判定する試験ではなく、従業員が業務に適した健康状態にあるかを確認するためのものです。

健康診断の本来の目的は、採用の可否を決めることではありません。労働者の健康状態を把握し、業務による健康への悪影響を防ぐこと、そして必要に応じて適切な就業上の措置を講じることにあります。

ただし実務上、検査結果によっては就業に制限がかかったり、配属先が変更されたりするケースがあることも事実です。場合によっては、採用が見送られる可能性もゼロではありません。

例えば、以下のようなケースでは業務への影響が懸念されます。

血圧が著しく高い場合

重量物を扱う作業や高所作業では、高血圧による脳血管障害や心臓発作のリスクが高まります。医師の判断により、当該業務への就業が制限されることがあるでしょう。

腰痛がある場合

製造業や物流業など、重い物を持ち上げる作業が多い職場では、既存の腰痛が悪化する恐れがあります。腰への負担が少ない部署への配置転換が検討されるケースも。

色覚に特性がある場合

配線作業や品質検査など、色の識別が重要な業務では、色覚の特性によって業務遂行に支障が出る可能性があります。ただし、これも業務内容次第であり、すべての仕事ができないわけではありません。

重要なのは、健康診断の結果だけで一方的に不採用とするのではなく、医師の意見を踏まえ、業務内容との適合性を総合的に判断することです。企業には、可能な限り就業機会を提供する姿勢が求められます。

配属先の変更や作業内容の調整によって対応できるケースも多くあります。健康診断で何らかの所見があったとしても、それが直ちに「不採用」を意味するわけではないと理解しておきましょう。

健康診断が期間従業員の入社に影響するわけ

健康診断の結果が期間従業員の入社に影響を与えることがあるのは、なぜなのでしょうか。ここでは、健康診断が持つ本来の意味と、実際に就業が難しいと判断されるケースについて解説します。

以下の2つの観点から見ていきましょう。

  • 健康診断で就業可否の確認をする理由
  • 業務に支障が出ると判断される具体的なケース

健康診断で就業可否の確認をする

健康診断の本来の目的は、「採用試験」ではありません。業務に就けるかどうか、つまり就業可否を確認することが主な目的です。

企業には、労働者の安全と健康を守る義務があります。労働安全衛生法では、事業者に対して労働者の健康管理を適切に行うことを求めています。そのため、雇入れ時に健康診断を実施し、従業員が担当する業務を安全に遂行できる健康状態にあるかを確認する必要があるのです。

この確認作業は、従業員本人を守るためでもあります。持病や健康上の問題がある状態で無理に業務に就くと、症状が悪化したり、労働災害につながったりするリスクがあるでしょう。

また、他の従業員の安全を守るという側面も。例えば、突然の体調不良が原因で機械操作を誤れば、周囲の作業者を巻き込む事故になりかねません。

つまり健康診断は、「この人を採用するかしないか」を決めるためではなく、「この業務を安全に行える健康状態か」を医学的に判断するために実施されます。結果的に特定の業務への配置が難しいと判断されることはあっても、それは不合格を意味するものではないのです。

企業は健康診断の結果を受けて、配置転換や作業内容の調整など、従業員が安全に働ける環境を整える責任があります。

業務に支障が出ると判断される場合

では、具体的にどのような健康状態の場合に「業務に支障が出る」と判断されるのでしょうか。これは業務内容によって大きく異なりますが、代表的なケースを見ていきましょう。

心臓疾患がある場合

重度の心臓疾患や不整脈がある場合、激しい運動や重労働によって症状が悪化するリスクがあります。重量物の運搬、高温環境での作業、長時間の立ち仕事などは、心臓に大きな負担をかけるため、医師の判断により就業制限がかかることも。特にペースメーカーを装着している場合は、電磁波を発する機械の近くでの作業が制限されるケースもあります。

重度の腰痛がある場合

製造業や物流業では、重い部品や製品を持ち上げる作業が日常的にあります。椎間板ヘルニアや慢性的な腰痛がある状態でこうした作業を続けると、症状が急激に悪化する可能性が高いでしょう。医師の診断書に「重量物の取り扱い制限」と記載されれば、該当する業務への配置は難しくなります。

視覚や色覚に問題がある場合

視力が著しく低い場合、細かい部品の組み立てや検査業務では支障が出ます。また、色覚に特性がある場合、電気配線(色分けされたケーブルの識別)、塗装の色確認、品質検査(色による良否判定)などの業務では、正確な判断が難しくなることも。ただしこれらは、業務内容次第で対応可能なケースも多くあります。

その他の健康問題

高所作業では、めまいや貧血の傾向がある人は転落事故のリスクが高まります。化学物質を扱う職場では、呼吸器系に問題があると症状が悪化する恐れがあるでしょう。深夜勤務がある場合、睡眠障害や精神的な問題を抱えていると、業務遂行や症状の悪化が懸念されます。

重要なのは、これらの健康問題があっても、すべての仕事ができないわけではないということ。企業は産業医や医師の意見を聞きながら、その人に適した業務や配置を検討する義務があります。配属先の変更、作業補助具の使用、勤務時間の調整など、さまざまな対応策が考えられるはずです。

健康診断の結果で一方的に採用を取り消すのではなく、どのような形であれば安全に働けるかを建設的に考える。それが、企業に求められる適切な対応といえるでしょう。

期間従業員が健康診断で落ちる主な原因

健康診断の結果によって就業が難しいと判断されるケースには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、実際に入社や配置に影響を与える可能性がある主な原因について、詳しく見ていきます。

以下の6つが、代表的な判断ポイントです。

  • 高血圧や血糖値異常
  • 腰痛や関節トラブル
  • 視力・聴力・色覚などの機能低下
  • 心臓や呼吸器などの病歴
  • 精神疾患や服薬状況
  • タトゥーなどによる就業規則違反

高血圧や血糖値異常

高血圧や血糖値の異常は、健康診断で最も多く指摘される項目の一つです。しかし、軽度の異常であれば直ちに就業不可とはなりません。

問題となるのは、重度の高血圧や未治療の糖尿病がある場合。血圧が極端に高い状態では、重労働や高温環境での作業中に脳血管障害や心筋梗塞を起こすリスクが高まります。特に収縮期血圧が180mmHg以上、拡張期血圧が110mmHg以上といった数値が出た場合、医師から就業制限の指示が出る可能性があるでしょう。

血糖値についても同様で、HbA1cの数値が著しく高く、糖尿病のコントロールができていない状態では、低血糖発作による意識障害のリスクがあります。機械操作や高所作業、運転業務などでは、突然の体調変化が重大事故につながりかねません。

ただし、これらの疾患があっても、適切な治療を受けて数値がコントロールされていれば、多くの場合は就業可能です。定期的な通院と服薬管理をきちんと行っていることが重要といえます。

腰痛や関節トラブル

製造業や物流業の期間従業員にとって、腰痛や関節の問題は特に注意が必要な項目となります。

椎間板ヘルニア、慢性腰痛症、膝関節症などがある場合、重量物の運搬や長時間の立ち作業、中腰での作業が続くと症状が悪化する恐れが。特に「腰椎椎間板ヘルニアで医師から重量物取扱制限の指示が出ている」といった状態では、該当する作業への配置は困難でしょう。

健康診断の問診票に腰痛の既往歴を記載した場合や、整形外科的な検査で異常が見つかった場合、産業医が詳しい診断書の提出を求めることがあります。その結果次第では、配属先の変更や作業内容の調整が必要になるケースも。

ただし、軽度の腰痛であれば、作業補助具の使用や定期的なストレッチの実施などで対応できることも多くあります。完全に就業不可となるわけではなく、どのような配慮があれば働けるかを検討する姿勢が大切です。

視力・聴力・色覚などの機能低下

視力、聴力、色覚といった感覚機能の低下も、業務内容によっては大きな影響を与えます。

視力の問題

矯正視力が0.7未満の場合、細かい部品の組み立てや検査業務では支障が出る可能性があります。また、フォークリフトなどの運転業務では、法令で定められた視力基準を満たす必要があるでしょう。ただし、眼鏡やコンタクトレンズで矯正できる範囲であれば、ほとんどの業務に問題なく就けます。

聴力の問題

難聴がある場合、工場内での指示が聞き取れず、事故につながるリスクがあります。特に大きな音が出る環境では、警告音や緊急時の指示を聞き逃す恐れも。補聴器の使用で改善できる場合は、その旨を申告することで対応可能なケースが多いです。

色覚の特性

色覚に特性がある場合、電気配線の色分け、塗装の色確認、信号や警告灯の識別などが必要な業務では困難が生じます。しかし、これらの業務に従事しない部署への配置であれば、全く問題ありません。色覚検査で異常が指摘されても、業務内容との適合性を個別に判断することが重要です。

心臓や呼吸器などの病歴

心臓疾患や呼吸器疾患の既往歴がある場合、業務への影響が慎重に検討されます。

心臓疾患

心筋梗塞、狭心症、重度の不整脈などの病歴がある場合、激しい運動や重労働は心臓に大きな負担をかけるため注意が必要です。ペースメーカーを装着している場合は、強い電磁波を発する機械の近くでの作業が制限されることも。ただし、治療が完了し、医師から「軽作業であれば可」という診断があれば、適切な部署への配置で就業できるでしょう。

呼吸器疾患

喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、過去の肺結核などがある場合、粉じんや化学物質が発生する環境では症状が悪化するリスクがあります。塗装作業、溶接作業、研磨作業などでは、呼吸器への負担が大きいため配置が難しいケースも。しかし、空調が整った環境での軽作業であれば問題なく就業できることが多いです。

重要なのは、病歴があること自体ではなく、現在の健康状態と業務内容との適合性。過去に病気があっても完治していれば問題ありませんし、現在治療中であっても症状が安定していれば就業可能な場合も多くあります。

精神疾患や服薬状況

精神疾患の既往歴や現在の治療状況も、健康診断で確認される重要なポイントとなります。

うつ病、適応障害、パニック障害などで治療中の場合、業務遂行能力や安全面への影響が検討されます。特に深夜勤務やシフト制の仕事では、生活リズムの乱れによって症状が悪化する恐れがあるでしょう。

服薬状況も重要な判断材料です。向精神薬の中には、眠気やめまい、集中力低下などの副作用があるものも。機械操作や高所作業、運転業務などでは、こうした副作用が事故につながるリスクがあるため、医師の意見を踏まえた慎重な判断が必要となります。

ただし、精神疾患があるからといって一律に就業不可となるわけではありません。症状が安定しており、主治医から就労可能という診断が出ていれば、多くの場合は問題なく働けます。むしろ、適度な仕事が回復につながるケースもあるでしょう。

企業には、精神疾患への偏見を持たず、個別の状況に応じた適切な配慮を行う姿勢が求められます。

タトゥーなどによる就業規則違反

健康診断では、医学的な検査だけでなく、企業の就業規則に抵触する事項も確認されることがあります。その代表例がタトゥー(入れ墨)です。

タトゥーがある場合、健康上の問題はなくても、企業の就業規則や社会的イメージの観点から就業が制限されるケースがあります。特に大手自動車メーカーの期間従業員では、タトゥーがあると採用されないことが多いでしょう。

これは、以下のような理由によるもの。

  • 寮生活での共同浴場利用時に他の従業員が不快に感じる可能性
  • 企業のコンプライアンスやイメージへの影響
  • 反社会的勢力との関連を疑われる懸念

健康診断時の身体検査で発見された場合、タトゥーの大きさや場所によっては、採用が見送られることがあります。小さなワンポイントであれば許容される企業もありますが、目立つ場所や広範囲にわたるタトゥーは厳しく制限されるでしょう。

ただし、これはあくまで各企業の就業規則によるもの。タトゥーに対する考え方は企業によって異なるため、応募前に確認しておくことをおすすめします。また、タトゥーを除去した跡がある場合も、その旨を正直に申告する方が誠実な対応といえます。

健康診断は医学的な判断だけでなく、企業の規則との適合性も確認する場となっていることを理解しておきましょう。

企業が押さえておきたい期間従業員の健康診断

期間従業員の健康診断を適切に実施するためには、企業側の体制整備が欠かせません。法令遵守はもちろん、従業員が安心して受診できる環境を整えることが重要です。

ここでは、企業が特に注意すべき2つのポイントを解説します。

  • スケジュールの流れを明確にして共有する
  • 再検査や就業制限への対応フローを決める

スケジュールの流れを明確にして共有する

健康診断をスムーズに実施するには、事前にスケジュールを明確にし、関係者全員に共有することが不可欠です。特に期間従業員は入社時期がバラバラなため、計画的な管理が求められます。

まず、雇入れ時健診については、入社前または入社直後に実施する必要があります。採用が決まった段階で、受診日時や場所、持参するものなどを具体的に伝えましょう。入社前3ヶ月以内に受けた健康診断結果があれば、それを提出してもらうことも可能です。その場合は、必要な検査項目が網羅されているか確認することが大切。

定期健診については、年間スケジュールを作成し、部署ごとの受診時期を決めておくとよいでしょう。製造業では繁忙期と閑散期があるため、業務への影響が少ない時期を選ぶ配慮も必要です。

具体的なスケジュール管理のポイントは以下の通り。

受診日の1ヶ月前には対象者に通知を行い、勤務シフトとの調整を図ります。健康診断は勤務時間内に実施するのが原則なので、受診時間を確保できるよう上司や現場責任者と連携しましょう。

受診日の1週間前には改めてリマインドを行い、前日の飲酒を控える、朝食を抜くなどの注意事項を伝えます。検査項目によっては食事制限が必要なため、分かりやすく説明することが重要です。

受診後は、結果が出るまでの期間や、結果の受け取り方法についても明確に伝えておきましょう。通常、健康診断から結果通知まで2〜4週間程度かかります。

また、派遣先で働く期間従業員の場合、派遣元企業と派遣先企業のどちらが健康診断を実施するのか、責任の所在を明確にしておく必要があります。一般的には派遣元企業が実施しますが、特殊健診が必要な場合は派遣先が行うこともあるため、事前の取り決めが欠かせません。

スケジュールを明確にすることで、従業員は安心して受診でき、企業側も法令違反のリスクを回避できるでしょう。

再検査や就業制限への対応フローを決める

健康診断の結果、再検査が必要になったり、就業に制限がかかったりするケースは少なくありません。こうした事態に備えて、対応フローを事前に整備しておくことが企業には求められます。

まず再検査についてですが、健康診断で「要再検査」「要精密検査」という判定が出た従業員には、速やかに医療機関での受診を促す必要があります。放置すると症状が悪化し、将来的に労災認定の問題にも発展しかねません。

再検査の対応フローとしては、以下のような流れが考えられます。

結果通知と受診勧奨の段階では、再検査の必要性を本人に分かりやすく説明し、受診可能な医療機関のリストを提供します。健康保険組合と連携している医療機関であれば、費用面での負担も軽減できるでしょう。

受診期限の設定も重要です。「できるだけ早く」という曖昧な指示ではなく、「結果通知から1ヶ月以内」といった具体的な期限を設けることで、従業員の行動を促せます。

受診結果の報告については、従業員から診断書や結果票のコピーを提出してもらう仕組みを作りましょう。個人情報の取り扱いには十分配慮しつつ、産業医や人事担当者が内容を確認できる体制が必要です。

次に、就業制限への対応について見ていきましょう。

健康診断の結果、医師から「重量物取扱制限」「高所作業禁止」「深夜勤務不可」といった就業制限の指示が出た場合、企業はその指示に従う義務があります。無視して業務を続けさせた場合、症状が悪化すれば企業責任が問われることに。

就業制限が出た場合の対応フローは、以下のように進めます。

産業医面談の実施では、本人の状態を詳しく聞き取り、どの程度の作業であれば可能か、どのような配慮が必要かを確認します。診断書の内容だけでなく、実際の業務内容と照らし合わせた判断が重要です。

配置転換や作業内容の調整については、人事部門、現場の管理者、産業医が連携して検討しましょう。例えば重量物の取り扱いができない場合、軽作業のラインへの配置転換や、補助具の使用による負担軽減などの方法があります。

定期的なフォローアップも欠かせません。就業制限が一時的なものか、継続的な配慮が必要なのかは、定期的な面談や再検査で確認していく必要があります。症状が改善すれば制限を解除できますし、悪化すればさらなる配慮が必要になるでしょう。

どうしても適切な配置先が見つからない場合は、配置転換の可能性を探ったり、場合によっては雇用契約の見直しも検討せざるを得ません。ただしこの場合も、一方的な解雇ではなく、本人と十分に話し合い、合意形成を図る姿勢が大切です。

これらの対応フローを文書化し、人事担当者や現場管理者が迷わず対応できるようにしておくことが、トラブル防止につながります。従業員の健康を守ることは、結果的に企業の生産性向上や離職率低下にも寄与するはずです。

健康管理は「GiveFit」から

期間従業員を含む全従業員の健康管理を効率的に行うには、適切なツールの導入が効果的です。健康診断の実施は法的義務ですが、それだけでは十分とはいえません。日常的な健康状態の把握と継続的なサポートこそが、従業員の健康維持と企業の生産性向上につながります。

GiveFitは、そうした企業の健康管理をトータルでサポートする健康管理アプリです。毎日の健康を簡単に記録できる機能により、従業員一人ひとりの健康状態を可視化。手軽に健康管理ができるから、これまで健康意識が低かった従業員にも始めやすいのが特徴です。

リーズナブルに従業員の健康管理が行えるため、多くの期間従業員を抱える企業でも導入しやすい価格設定となっています。さらに、Givefitで従業員の健康管理を行うことで、欠勤率の低下や業務効率の向上といった業務改善にもつながるでしょう。

健康診断は年に1回ですが、健康管理は365日続くもの。日々のデータを蓄積することで、健康診断では見えにくい変化にも早期に気づくことができます。例えば、体重や血圧の日々の変動、睡眠時間の推移などを記録しておけば、次回の健康診断前に生活習慣を改善するきっかけにもなるはずです。

期間従業員は雇用期間が限られているからこそ、入社時から健康管理をしっかり行うことが重要。短期間でも安心して働ける環境を整えることは、企業の社会的責任でもあります。

GiveFitを活用すれば、健康診断のスケジュール管理、再検査対象者のフォローアップ、就業制限への対応なども一元管理が可能です。人事担当者の業務負担を軽減しながら、従業員一人ひとりに寄り添った健康サポートを実現できるでしょう。

従業員の健康は企業の財産です。GiveFitで、健康診断を起点とした包括的な健康管理体制を構築してみませんか。

村上克利
代表取締役
13年間にわたりパーソナルジム「POLUM」を経営し、幅広い世代・職業層の健康改善をサポート。
身体づくりに合わせ、メンタル面や生活習慣の改善にも注力し、多くの顧客から「続けられる健康習慣」を引き出す指導を行う。

その豊富な現場経験を企業向けの健康経営に応用し、従業員の健康増進と組織の活性化を目的とした健康管理アプリ「Givefit」を開発。

「Givefit」では、個人の健康データをもとにした最適なアドバイスや行動プランを提供。
健康習慣の定着を支援し、企業全体の生産性向上や離職防止に貢献。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次